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ここ数年で、スマートフォンの登場やPCそのもののユーザーエクスペリエンスの進化等、IT機器が情報入手に果たす役割はより大きくなりました。
視覚障害から文字情報の入手が困難となる状況では、パソコンなどのIT機器の活用で、生活面は勿論、仕事、学び、趣味など多方面に渡ってその内容が大きく改善します。このコラムでは、視覚に障害をもつ方々がパソコンやタブレットなどのIT機器を活用しながら、「生きがい」や「希望」につなげておられる様子をお伝えしていけたらと思います。
見えない・見えにくい方のIT活用
音声パソコン個別講習を受けて
視覚障害とWebアクセシビリティ
(Web開発者向け)
初めてのパソコンと競馬
6年前に趣味の競馬をきっかけにパソコンの勉強を始めた全盲の方のお話です。
当協会のITファームでスタッフの方から「何かやってみたいことはない?」と声をかけられ、「競馬の出走表が分からない、特に土曜日や日曜日の出走が全然わからない。分からないままいつもラジオで聞いてるんやけど」とのこと。
それならパソコンで出走表を確認できることから、45歳ではじめてのパソコンの勉強がスタートしました。
まずは、文字入力の練習からはじめました。音声タイピング練習ソフトを用いて五十音の練習をされていましたが、「あいうえおばかりでは飽きてくる」と、じゃあ馬の名前でタイピング練習をすることになりました。
ところが馬の名前は全部カタカナ表記なのでカタカナの練習に偏らないよう、漢字変換も練習しなければなりません。それならばと馬の名前に加えてその馬の勝ったレースの名前で漢字仮名まじりのタイピング練習もしました。しだいに平仮名も漢字(有馬記念、桜花賞、皐月賞等)も入力できるようになりました。
それまでの点字の世界からカタカナ、平仮名、漢字へと親しんでいくことで、文字の持つ言葉のイメージの世界も広がってきたそうです。
スポーツ新聞やニュースを音声パソコンで楽しむうちに、前後の文章のニュアンスから漢字予測を行い、正しい漢字の選択もできるようになりました。
徐々に日常生活の中にパソコンが欠かせない存在となり、家に帰ったら園田競馬など間に合いそうなレースは生放送で楽しむ。そして、パソコンを使って成績表を調べる、全レース終了後に聞けなかったレースは全てVTRとしてあるインターネットからパソコンで1レースから聞き、成績を確認する。
「ラジオ関西でも放送しているのですけど、もう待ちきれなくなってきたので助かっている」とのことです。
また、パソコンで競馬放送をリアルタイムで聴きながら、同時に録音ソフトを使ってパソコンに保存されています。「あのとき、こんなレースやったなぁ…」と過去を振り返ってみるのもまたよいものだそうです。
50歳となられた今では、ipadも購入し外出先でも競馬情報やレースをインターネットで楽しんでいらっしゃいます。
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