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神戸アイライト通信NO.29
発行:2013年8月
◆ 相談が5000件を越えました!
理事長 森 一成
トータルサポート事業が2008年の開始以来、この2013年6月で5000件を超えました。 相談件数は増加傾向で、特に来訪相談は初めのころから倍近くになりました。事業体制も限界に近付いています。予算面では非常に厳しい状況に陥っています。トータルサポート事業が継続合意後3年目になりました。新たな制度事業として実施する方向を考える時期になってきました。しかし来年度以降について、よりよい制度事業としての展望は現在まだ開けておりません。今後も相談や訪問サポートを安心して受けていただける地域になることを願っています。
◆ エスコートゾーン設置に向けて前進しました
理事長 森 一成
エスコートゾーンは横断歩道上に設置され、視覚障害者が横断時に横断方向の手がかりとする突起体の列です。簡単に言うと横断歩道上の点字ブロックのようなものです。昨年秋の布引交差点での接触事故を受けて、信号の改善とともに県警本部等に設置を要望していました。 7月4日に県警本部の方が来訪されて、設置を検討しているとのことでした。一歩前進です。
< 2012年度 事業報告まとめ >
事務局長 和田眞由美
1. トータルサポート事業 5年目
神戸市の委託を受けて相談対応をおこなった。相談件数は初年度2008年の798件から増加を続け5年目は1167件になった。1167件中、初めての相談は295件(25%)。相談には専門相談員、歩行訓練士、社会福祉士、視能訓練士、音声パソコン担当、看護師が対応し、また他団体とのネットワークも活用してトータル的なサポートをおこなった。神戸市の委託事業とはいえ、財源は寄付金のため、いつまで継続できるのか分からない状況。相談は無料、歩行訓練はボランティア的(無償に近い形)でやっていては、活動は破綻してしまうという危機感を持っており、神戸市に対して事業継続および拡大の交渉をおこなった。
2. 伊丹市において訪問歩行訓練の事業化が実現
伊丹市在住の当事者の方たちにより、行政に対し、訪問での歩行訓練の必要性を訴え、4年半に渡るご尽力の結果、事業化が決定!神戸アイライト協会が伊丹市から事業委託を受け、歩行訓練士を派遣できるようになった。
3. 通所施設「アイライト新神戸」が地域活動支援センター多機能型へ!
2002年に小規模作業所でスタートした「アイライト新神戸」、2009年には障害者自立支援法の法定施設、地域活動支援センターに移行。3年と延長1年の期限を迎え、施設の存続をかけて神戸市の公募に申請。選考の結果、3施設の中に選ばれ2013年から3年間の継続が決まった。
4. 8/25(土) JRPS兵庫県支部との共催「ロービジョンサポート夏祭り」開催!
日本網膜色素変性症協会(JRPS)兵庫県支部と初めての共催で講演と交流、相談、機器展示体験のイベントを開催。企画から打ち合わせ、当日の運営まで協力しておこなった。また10月にはJRPS兵庫県支部主催の「アイフェスタ」にて相談ブースに協力。今後の連携強化を図る上で重要な年であった。
5. 11/23(祝) 医療関係者対象ロービジョン研修会開催
眼科医、視能訓練士の方々を対象に初めての試み。目が見えにくくなると必ず医療機関を訪れる。福祉側では相談をお聞きしアドバイスをおこなう。医療と福祉との連携が上手く進めば、見えにくさによる生活の不便さの改善、気持ちの改善を早期に図ることができると期待している。
◆ 白杖歩行サロン開催
"歩行訓練士 住吉 葉月
6月14日、白杖歩行サロンを開催しました。アイライトで歩行訓練を受けた方、これから歩行訓練を受けたい方を対象とした初めての試みです。神戸市の方を中心に、スタッフも含めて約30名が集まりました。
当協会理事長の森より、兵庫・神戸での歩行訓練事業の現状について紹介があり、続いて大村直美さんより、伊丹市での訪問歩行訓練事業化の取り組みについて、伊丹市と交渉した経緯から、大村さん自身が訓練を受講した体験など貴重なお話をうかがいました。白杖を振り、背筋を伸ばして歩くことで「風をほおに感じながら歩くことができた」という言葉が強く印象に残りました。
交流会では、参加者を4つのグループに分け、それぞれの歩行訓練の体験を話していただきました。そこでは、白杖操作を習得し行動範囲が広がることで、自信が持て、気持ちが明るくなったという方、歩くことの楽しみができ、生きる喜びとなったという方など、様々な感想を聞くことができました。
歩行訓練は、基本的には歩行訓練士と受講者がマンツーマンで実施するので、自分以外の受講者とのつながりがない方が大半でした。今回のサロンが参加された方にとって、それぞれの体験、思いを共有し、それぞれの方を繋いでいくきっかけとなったら幸いです。
「白杖歩行」をキーワードとして実施したサロンでしたが、歩行訓練にとどまらず、歩きやすい環境をみんなで考える場、情報交換の場として、今後も開催を企画したいと思っています。あわせて、まだ十分とはいえない神戸市での訪問歩行訓練が、より利用しやすい状況になるよう取り組みを続けていきます。今後とも、みなさまのご協力をよろしくお願い申し上げます。
◆ 「認定NPO法人」申請への取り組みと御礼
事務局長 和田眞由美
1年前の通信で「認定NPO法人」について書かせていただきました。社会福祉法人にはなれずともNPOの活動を同等に評価、そして優遇措置をいただけるよう申請に向けて取り組みをおこなって参りました。団体として信頼の証、年3,000円以上の寄付者が年平均100名以上必要という高いハードルを越えるため支援を呼びかけたところ、多くの方々から賛同をいただきました。厚く感謝申し上げます。3,000円以上の寄付者を年100名以上という応援は継続して必要です。これからも応援していただけるよう、日々の活動に一層努力して参ります。
申請時期につきましては、他のハードルが大変に厳しく、今しばらくかかりそうです。併せて神戸市に対しては、私たちの活動が限界に近づいていることを強く訴え、視覚障害への障害福祉サービスの適正化を求めていきます。
2012年度には賛助会費48万円、ご寄付1,412,823円を頂戴いたしました。
重ねましてご支援に感謝申し上げます。厳しい運営の中で経費を極力抑え、ボランティアさんに支えていただくなどして活動を続けております。見えにくさで困ったときに気軽に相談できる場所であり続けられるよう、皆様の引き続いてのご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。
【 編集後記 】
東日本大震災の発生から2年が過ぎました。当協会の呼びかけに賛同いただき、お預かりした募金合計は563,545円になりました。ご協力ありがとうございました。6月末までにお預かりした81,700円を日本盲人会連合へお届けしました。
日本盲人会連合では視覚障害者のための震災ホットラインを開設するなど引き続き支援活動をおこなっておられます。本格復興には未だ時間がかかりそうです。一日も早く安心できる暮らしを取り戻されるよう祈るばかりです。(和田)
本分終了