以下本文
神戸アイライト通信 NO.55号 発行:2026年8月
- ・どこでも歩行訓練、ICTサポート、視覚専門相談が受けられますように
そして指導者の待遇、生活保障が守られますように - ・2025年度まとめ
- ・横断歩道のお話
- ・はじめまして。計画相談支援事業所ジェルダです。
- ・編集後記
どこでも歩行訓練、ICTサポート、視覚専門相談が受けられますように
そして指導者の待遇、生活保障が守られますように
理事長 森 一成
今年は新会館への移転5周年です。そして視覚リハ事業存続の危機が起こって5年が経過しました。
私たちは新会館移転を視覚専門相談事業・視覚リハ事業発展の機会ととらえていました。しかし事業発展の期待は、一転して事業存続の危機になりました。
この間、経済的そして精神的に、多くの皆様に支えていただき5年間を持ちこたえることができました。改めてご支援いただいた皆様、ご協力いただいた皆様に心より感謝申し上げます。
しかし、この間に退職者が出ても十分に人員補充ができませんでした。残ったスタッフの高齢化も進み、地域として視覚リハを再検討するため、そしてアイライトの団体としての存続のため事業の縮小、一部変更しました。事業は変わりましたが、地域として視覚専門相談事業、歩行訓練やICTサポートなどの視覚リハ事業の発展を願う想いは変わっておりません。地域にとって良い支援システムを今後とも皆さんと一緒に考えていければと思っております。
それから移転時には新開地駅からエスコートゾーンのある短い横断歩道を通って5分程度で中山記念会館でした。しかし昨年12月に新開地駅地上のマンション工事の関係で、新開地駅の遠い出入口を利用することになりました。会館利用団体の要望を聴いていただき会館前の横断歩道にエスコートゾーンが、6月に設置されました。大きな改善で、ご協力いただいた皆様に感謝です。しかしマンションが完成しても出入口は元の場所ではなく、遠くなり駐車場の出入り口が歩道にできる計画が判明しました。今後の周辺の歩行環境を心配しています。訪問型歩行訓練事業や同行援護などのソフト面、ホームドアやエスコートゾーンなどハード面、両方での視覚障がい者の歩行支援の充実を望みたいと思います。
2025年度まとめ
2025年度は、「勝負の年」と位置付けて臨んだ1年でした。
まずは認定NPO法人として初めての更新申請をおこない、実地調査を受けて5年間の継続を認めていただきました。
賛助会費やご寄付を3,000円以上、5年間で500件以上いただいている団体という要件もクリアすることができ、応援してくださる皆様に心より感謝いたしております。
神戸市の委託事業がトータルサポート事業から視覚障害者生活訓練事業と視覚障害者生活支援事業へと形が変わって2024年度末で3年目を終了しました。
この事業は対応する専門の職員が複数いてこそ成り立つ事業にも関わらず、委託費は大きく不足しておりました。
毎年、多くの皆様から応援いただく賛助会費とご寄付から約600万円を委託費の不足分に充てさせていただき何とか継続することが出来ました。
しかしこのような無理な状態で当協会が続けて担っていて、本当に良いのかどうかが大きな問題でした。
そこで2025年度の一年間に限り、神戸市の委託事業をお受けし、その後は神戸市にお返しするという苦渋の決断をしました。神戸アイライト協会の存続自体も危ぶまれる状況であると判断したためです。
そして、この決断には、もう一つの大切な思いがありました。
それは今までのような到底持続していくことが難しい形ではなく、きちんとした持続可能な視覚障がい福祉の体制を、神戸アイライト協会が主導するのではなく、神戸市が責任を持って担っていく体制を求めていくという思いです。
6月には神戸・兵庫の視覚障害福祉の未来を考える集いを開催、7月のロービジョンサポートフェアでは「みんなで語ろう!私たちの未来」を企画し、多くの皆様の声を神戸市に届けることを試みました。
ちょうど時を同じくして7月初め、神戸市のホームページに神戸市立点字図書館の管理運営業務【指定管理者の募集】の公募が掲載され、その業務の中に「ICTサポート事業」が含まれていることが分かりました。
視覚障害者生活支援事業の内容が組み込まれているということです。
全国的に見れば点字図書館が担っておられる地域も多く、神戸市民にとって安定して継続利用できる事業になれば良いことであり、私たちも願うところです。
もう一方の視覚障害者生活訓練事業については歩行訓練士が必須ということで、神戸市も2026年度の担い手を各方面にあたっておられたようですが該当はなかったそうです。
このままでは神戸市の歩行訓練の事業自体が消滅してしまう懸念もあり、当協会としては神戸市が新たに考えておられる出来高払いのような事業では受けられないとの条件で申し入れをしました。
並行して団体存続のため、やむを得ず2026年度の活動縮小に向けて動きだしました。
神戸市のICTサポートは神戸市立点字図書館に、神戸市以外の方々の支援全般は兵庫県視覚障害者福祉協会にお繋ぎすることなど、縮小する部分に関しては他団体・他施設との連携により、地域としてサポート体制の継続と発展に努めることとしました。
当協会としては視覚障がい専門相談の重要性と必要性を認識しており、神戸市にお住まいの方のICT以外のご相談については、出来る限り継続していく考えです。
公的な委託事業ではないので広く賛助会費やご寄付での応援をお願いするとともに、神戸市に対しては委託事業化を求めてまいります。
また従来通り、通所施設の充実にも力を入れて取り組み、とても有難いことにご利用者様も徐々に増えて増収につながりました。
さらに指定特定相談支援事業所の2026年4月開設に向けての準備と指定申請をおこない認可を受けることができました。
苦渋の決断と新たな動きが、地域の視覚リハの発展充実へ好転していくよう、これからも歩みを進めて参ります。
横断歩道のお話
歩行訓練士 住吉 葉月
今年も暑い夏がやってきました。
梅雨明けした途端に猛烈な暑さに見舞われ、歩行訓練で歩いている場合ではないぞ、延期するべきか?と、毎日悩みながら神戸をとことこ歩き回っています。皆様も熱中症にお気をつけくださいね。
今回もある歩行訓練のひとコマです。
行動範囲を広げるために、バスに乗って外出したいAさん。
バス停に行くためには大きな通りを横断する必要があります。
横断歩道には音響式信号が一応ついてはいるのですが、その「カッコー、カッコー」が車の音でかき消されてしまうくらい、小さいのです。
そこで「横切る方向の車の音が止まって、進行方向の車の発進音が聞こえたら、横断開始」をベースに、通行者や自転車の音などの要素も加えて判断すること、不安だったらその回は見送ることを確認して、横断の練習開始です。
白杖を握りしめて耳を澄ませるAさん、その少し後ろで同じく耳を澄ませる私。
西側へ渡ったら今度は東側へ渡る、この繰り返しです。
はたから見ると「?」な光景ですが、本人は真剣です。
たまたま車の交通量が少なかったり、全くなかったりすると音もしないので、その回は見送りです。
信号は青になったけど、イマイチ確信が持てない様子…
その時、同じく信号待ちをしていたお母さんが子どもに「ほら、渡るでー」と声をかけたのです。
それを聞いたAさん、「…うん、渡る!」と心の中でつぶやき、横断開始できたのでした。
後で聞いたのですが、Aさんのお子さんが練習の様子を見かけて「…ママ、渡ってる」とポツリと言ったそうです。
街中でAさんがひとりで歩く姿を見たのは、おそらく初めてではないでしょうか。
ママが頑張っているところを見てもらえてよかったと思いました。
こんな感じで、ひとり歩きしている白杖ユーザーさんでも、不安な気持ちで信号待ちをしている方も多いと思います。
「青になりましたよ」と声かけするだけでもとっても喜ぶのではないでしょうか。
誰もが安心して歩ける街にしていきたいと思いながら、歩行訓練を続けています。
はじめまして。計画相談支援事業所ジェルダです。
相談支援専門員 藤原 奈津子
皆さんは、「計画相談支援」という言葉を聞いたことがありますか?このたび神戸アイライト協会では、3つ目の事業所として「計画相談支援事業所ジェルダ」を開所しました。今回は、計画相談支援とはどのようなものなのか、ジェルダがどんな役割を担っているのかをご紹介します。
計画相談支援とは、障害福祉サービスを利用するための計画を一緒に考え、その後も継続して相談しながら、その人らしい暮らしの実現を目指す制度です。障害福祉サービスを利用したい方や、すでに利用されている方を対象に、「どんな暮らしをしたいのか」「何に困っているのか」「そのためにはどんな支援が必要なのか」を一緒に考え、必要なサービスや関係機関との調整を行います。私たち相談支援専門員は、この仕事を「人生の伴走者」だと考えています。盲導犬がユーザーの隣に寄り添い、一緒に歩いてくれるように、私たちもご本人の思いに寄り添い、希望する未来に向かって共に歩む存在です。もちろん、人生の主人公はご本人です。私たちは行き先を決めるのではなく、その思いを実現するためのお手伝いをします。例えば、「自分で買い物や外出ができるようになりたい」という希望があれば、同行援護事業所を一緒に探し、安心して利用できるよう調整します。また、「いつか一人暮らしをしたい」という夢があれば、グループホーム探しや、その先の住まい探しを一緒に進め、必要な支援を整えていきます。仕事や趣味など、新しいことに挑戦したいという思いについても、実現に向けて一緒に方法を考えていきます。事業所名の「ジェルダ」は、私の大切なパートナーである盲導犬「ジェルダ」の名前が由来です。ジェルダが私の人生に寄り添い、いつも隣で支えてくれたように、私たちも皆さんの人生に寄り添う良きパートナー、良き伴走者でありたい。そんな思いを込めて、この名前を付けました。「計画相談支援ってどんなものだろう?」「私も利用できるのかな?」そんなふうに思われた方は、ぜひお気軽に神戸アイライト協会までご連絡ください。皆さんのお話を伺いながら、一緒にこれからのことを考えていけたらうれしいです。
【 編集後記 】
これまで様々なことに柔軟に対応してきました。
しかし、神戸市にお住まいの方のICT相談は神戸市立点字図書館へ、神戸市外の方は兵庫県視覚障害者福祉協会へお繋ぎすることになり、今までご利用くださった方、ようやくお電話くださった方に、ご説明しなければならない無念さと申し訳なさを感じています。イベントやICTの集団講習は神戸市外の方々もご参加いただけますので、引き続きお待ちしております。
それから中山記念会館では、視覚と盲ろうに関わる14団体が活動していますので、ぜひ繋がっていただきたいと思います。
(和田)
本分終了





