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神戸アイライト通信 NO.54号 発行:2026年1月


どこでも歩行訓練、ICTサポート、視覚専門相談が受けられますように
そしてサポートする人の生活(待遇)が守られますように

理事長  森 一成

日本で歩行訓練士の養成が始まって今年は55周年です。アメリカで1940年代にオリエンテーション&モビリティ (Orientation & Mobility, O&M)日本語にすると定位と移動、これを日本語にしたのが歩行訓練です。視覚障がい者は歩行に大きな困難と危険を伴います。それは自分がいる環境は、どのような場所か把握が難しいからです。特に全盲など重度の視覚障がい者は、足を出したいところが安全かどうかの確証がもてません。そこで視覚のかわりに触覚で確認する白杖が重要になります。こうして視覚障がいを持つ人々が安全かつ自立して移動するための歩行訓練が始まりました。その後、歩行訓練は日本にも伝わり1970年に指導者の養成が開始されました。そして、その養成を修了した指導者は、歩行訓練士と呼ばれるようになりました。対象は重度の視覚障がい者でした。
当初は国立施設、盲学校、大きな社会福祉法人がする施設での指導が中心でした。しかしその後、訪問での指導が中心となっていきます。視覚障がい者にとって在宅で歩行訓練を受けることによって指導終了後にすぐ生活で使えることができます。利用希望者は増え、NPOなどの小さな法人も事業を始めました。しかし従事者に十分な待遇、生活保障という面では問題も出てきました。
21世紀になってICTサポートが歩行訓練と並んで視覚障がい者の社会生活に重要になってきました。ICTサポートでは、歩行訓練士以外の人々も活躍するようになりました。ICTの発展はめざましく、ニーズは年々高まっています。21世紀になって、もう一つの動きがありました。ロービジョン(目の病気で生活上に支障をきたしている状態)の眼科患者さんを早く福祉サービスにつなごうという動きが一部の眼科医で少しずつ広がってきました。その受け皿として視覚専門相談事業も注目されるようになってきました。当協会でも2008年度から2021年度まで神戸市委託事業として実施させていただきました。利用者は年々増える状況でしたが、財源難、高齢化もあり来年度からは私たちは事業縮小の予定です。これからは、今まで以上に地域全体でサポートしたいと思います。他施設の公的事業も積極的にご紹介します。そして神戸市の視覚専門相談については、私たちが可能な限りは続ける決意です。「どこでも歩行訓練、ICTサポート、視覚専門相談が受けられますように。そしてサポートする人の生活(待遇)が守られますように。」と願っています。今後とも、ご協力ご支援をよろしくお願い申し上げます。

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2026年4月以降、主な事業について(2025年12月 現在)

神戸アイライト協会は地域の視覚リハビリテーション事業の充実を願って活動を続けて参りましたが、来年度から大幅に活動を見直さざるを得ない状況です。当協会としては職員の高齢化もあり、団体存続のための苦渋の決断です。以前よりお伝えしております通り、神戸市からは委託事業の拡充を得られず、また兵庫県からも「相談事業は他施設にお願いをしている」「各市町でおこなっている」との回答で全く聞き入れていただけません。現在の状況をお伝えします。
◎変わる可能性のある事業
 ICTの相談、講習
 神戸市以外のかたのご相談
◎継続の方向で検討している事業
 初期相談、視覚専門相談
 用具の紹介、販売
 歩行訓練
◎継続する事業
 通所施設
 ・事業種別:地域活動支援センター
  神戸アイライト協会 視覚障害者活動センター(アイライト新神戸)
 ・事業種別:自立訓練(機能訓練)、就労継続支援B型
  ITハンドファーム
まだ確定しない部分もありますので、あらためてお伝えするようにいたします。これまで多くの皆様にご利用いただき、育てていただいた人材と積み重ねたノウハウを途切れさせることなく継承できるよう努めて参ります。今後は、今まで以上に地域の関係団体と協力して視覚障がい福祉の充実をめざしていきたいと思います。ご理解、ご協力をお願い申し上げます。

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最寄りの新開地駅から中山記念会館へのアクセス変更

2025年12月1日より、新開地駅から地上に出る1号(1番)出入口がビル工事のため長期閉鎖されていますので、新開地駅から中山記念会館への代替ルートをご案内します。
新開地駅の西改札口を出て約3m進み点字ブロックを右折、
突き当りで左折して4号(4番)出入口の階段を上がります。
階段を上がり終えて1メートル余り進み、高さの違う変則的な三段を降ります。
大開通を背にして南側歩道の点字ブロックを右折します。
短い横断をして郵便局前を通過します。
もう一度短い横断をして右折点字ブロックで右折して会館南側の横断歩道に出ます。
大開通2丁目交差点になります。
神戸木材会館前から中山記念会館に向かって大開通を横断します。
横断歩道手前の点状ブロックの右端に移動すると右の植え込みに地上1メートルあたりに青信号延長押しボタンがあります。小さな音が出ています。
ボタンを押すと少し強い短い音が鳴ります。次の横断時のみ約10秒、青信号が長くなります。
音響信号の「カッコウ、カカコウ」の音が聞こえると大開通横断時の青信号です。
横断歩道は約40メートルで中央に約1メートルの少し盛り上がった分離帯があります。ここを含めて、このルートにはエスコートゾーンはありません。
横断後は大開通に並行している北側歩道の点字ブロックを右折します。
点字ブロックの左側を歩き、左折点字ブロックが左折してスロープを上がったところが中山記念会館の入口です。
火曜から金曜は9時30分から15時まで、土曜は9時30分から13時30分まで(イベント開催時は延長する場合あり)風鈴音の音サインも鳴っています。
他のアクセスとしては新開地駅の西改札を出てから左折して2号(2番)出入口から地上に出て神戸信用金庫前を横断するルート、新開地駅の東改札から改札山側のエレベーターで地上に出て神戸信用金庫前を横断するルート、4号(4番)出入口を出て東の神鉄ビル前で大開通を横断するルート等もあります。工事期間中は施工主へ警備員の配置と適切な声かけや誘導案内を求めていますが、どうぞお気をつけてお越しください。
神戸高速鉄道「新開地駅」西改札より徒歩8分(2号または4号出入口 階段)
市営地下鉄「湊川公園駅」西改札より徒歩10分(西出口2 階段・エレベータ)

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アイライトフェア2025

副理事長・IT事業部長 飯山知子

例年通り10月25日(土曜)、中山記念会館1階大会議室において、「アイライトフェア2025」を開催いたしました。前回に引き続き完全予約制での開催とさせていただきましたが、プロの落語家が来られるということで早くに満席となり、どう座席を確保するか悩んだほどでした。当日は関係者・スタッフを含め107名と多くの方々にご参加いただき満席の状態でしたが、混乱もなく皆様に楽しんでいただくことが出来ました。
アイライトフェアではおなじみとなりました「アイライトアンサンブル」によるリコーダー演奏からスタートしました。ご来場の皆様にリコーダーの音色と優しいハーモニーをお聴きいただき、たくさんの拍手をいただきました。低音に幅ができていた、一人ずつの技量が上がっていたなど、演奏者には嬉しいお言葉もいただきました。第一部の桂福点氏による講演会&落語では、最初に視覚障がいについてのお話がありました。見え方について、その時の心の状態についてなどを含めて理解しやすいようにご自身の生い立ちに沿ってお話いただき、皆さま真剣に聞き入っておられました。また、落語はもちろんですが、会場を巻き込んだ大喜利あり、オペラの歌の披露まであり、会場にアンコールが響くほどの盛り上がりでした。
第二部では、「今更ながら歩行訓練士って ~常勤歩行訓練士のいる地域、いない地域 ~」と題して、地域の歩行訓練士として長く視覚リハに携わってこられた日本ライトハウス養成部部長の堀内恭子氏と神戸アイライト協会 理事長の森一成の二人で熱く語っていただきました。第一部の盛り上がりにより、時間が短くなりましたが、堀内恭子氏の軽やかなトークで纏めていただき、歩行訓練士の置かれている環境を皆様に共有いただくことができました。理事長の森からも歩行訓練士がいない地域、足りていない地域に関しての問題に対する説明もあり、歩行訓練士が安定して雇用されていない危機的状況を考える機会となりました。改めて歩行訓練士が安定して雇用され、いつでも必要な時に必要な場所で歩行訓練を受けることが出来る環境が必要であるという共通認識を持つことが出来ました。複数の歩行訓練士がいる地域はどうやって環境を構築したのか、様々な角度から検討し、実現に向けて進んでいく為にも諦めないこと、その為には個人も組織も視覚障がいのある人もない人も力を合わせて協力していかなければ、何も変えていけないと強く感じました。限られた時間で盛りだくさんの内容のイベントだった為、あっという間に過ぎ去った印象のイベントでしたが、同じ時間と場所、そして思いを共有したイベントとなったことは確かなことだと感じています。

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巣立ちの秋のお話

歩行訓練士 住吉 葉月

ご無沙汰しております。過ごしやすい秋は瞬く間に過ぎ去ろうとしていますが、私のほうは相変わらず白杖を紹介したり、神戸のどこかをふらふら歩いてみたりしています。
さて、今回のお話は2、3年ほど前にさかのぼります。
「私、ひとりでアイライトまで来られるようになれますか?」とAさん。アイライトのイベントや相談に、自分が行きたいタイミングで行けたらとのこと。ちょっと怖がりなところがあるので、不安のようです。
「できるできる!途中の電車は駅員さんにサポートしてもらえば、ひとりで来ることも夢じゃないよ!」
実際に訓練が始まったのは昨年の春頃、まず自宅から最寄り駅までの移動を練習して歩けるようになりました。次に電車利用、駅員さんにサポートを依頼する練習、こちらもクリア。
今年に入り、いよいよ駅からアイライトまでのルートです。小さい横断歩道をいくつか渡りながらのルートが、どうしても不安、まだ無理!とAさん。
訓練士的には歩く技術はOKレベル、あとは「気持ち」だけですが…。私も心を鬼にして提案です。「次回希望の日なんですが、私、他の訓練入ってるから、ひとりで来てみない?もう十分に練習してるから、大丈夫!」やや強引に決定、あとは祈るのみです。
当日、Aさんから「ひとりでアイライトまで着きました!」の連絡がありました。お見事!心の中でガッツポーズです。
歩行訓練は、ひとりで歩けるようになるための練習です。利用者も、訓練士も、お互いに離れなければならないのは分かりながらも、なかなか決心がつかない場合もあります。必要なのは、ひとりで歩けると信じる気持ち。Aさんはきっともう、大丈夫です。
余談ですが、私のほうは予定より早く訓練が終わったので、バス停で乗客のふりをして、Aさんの歩く姿をこっそり見ていたのであります。子離れできないのは、私のほうでした…。

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【 編集後記 】

このところ身体の衰えを自覚するようになってきました。行政との交渉を片づけてから次の方にバトンタッチという思いで、自分なりに努めてきましたが間に合わないかもしれません。とても悔しく無念ですが、アイライトでの視覚リハ活動は縮小せざるを得ない状況です。しかし他団体との新たな連携で網を大きくひろげて誰も取りこぼさない、地域の視覚リハの新しい形を展開していけるよう、もうひと頑張りです。ご支援よろしくお願いいたします。

(和田)

本分終了