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神戸アイライト通信 NO.51 発行:2024年8月


おかげさまでアイライト25周年!改めて皆様との出会いに感謝です!

理事長  森 一成

前の号でもふれましたし、すでにご承知の方が多いかと思います。おかげさまで当協会は2024年4月に活動開始から25周年を迎えました。開始時45歳だった私も古稀(今では全く稀ではありませんが)となりました。また白杖指導者(白杖歩行指導者)で出発しましたが、今は白杖使用者(白杖歩行者)です。発足時は自宅台所だった事務所も、ホテルのような外観の新しい中山記念会館になりました。スタッフ数も「団体ひとり」から、まだまだ小規模とはいえ20名です。隔世の感があります。
発足から25年、この間、多くの皆様との出会いがありました。利用者の皆様、ボランティアの皆様、役員・正会員・賛助会員の皆様、多くの支援者の皆様、関係者の皆様など。出会った皆様は、スタッフを含めて1000名を超えていると思います。そのほとんどが活動開始後に出会った皆さんです。この25年の間には木村文子(きむら あやこ)元副理事長のように天国へ旅立たれた方もいらっしゃいます。改めて感謝とともに、ご冥福をお祈りしたいと思います。
今更の話になるかもしれませんが、見えない見えにくい状態になると歩行、読み書きをはじめ多くの困難が生じます。その困難から希望を失い、鬱状態になるケースもあります。見えづらさ対応術(視覚リハビリテーション=視覚リハ)は、見えない人、見えにくい人にとって希望の灯です。現在の予算で事業を続けるのは限界にきていますが、当協会の原点である見えづらさ対応術(視覚リハ)の必要性は訴え続けていきたいと思います。

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2023年度まとめ

事務局長 和田眞由美

1. 公募事業の受託2年目! 全国から貴重なご署名「7151筆」!

当協会の中心的事業である相談を初めとする視覚障害リハビリテーションについて、2022年度に続いて神戸市より公募事業を受託し「神戸市視覚障害者生活支援事業」および「神戸市視覚障害者生活訓練事業」を実施しました。委託費は生活支援事業が690万円、生活訓練事業が660万円です。この予算では専門スタッフを複数配置した充分な対応体制が組めません。委託費の適正な予算化を求めて神戸市への交渉も引き続きおこないました。
4月には視覚障害当事者有志の方々が視覚障害者トータルサポート事業存続を求める当事者の会を立ち上げられ、神戸市へトータルサポート事業の復活と必要予算確保を求めて「視覚障害者(児)も安心して暮らし、活躍できる神戸をめざす署名運動」に取り組まれました。全国から7151筆の貴重な署名が集まり、神戸市長宛てとして福祉局へ手渡されました。しかし、その後も一気に好転とはいかず、事業継続のため苦渋の決断で支援の呼びかけをさせていただき、また広く多くの皆様から賛助会費やご寄付にて助けていただくことになりました。あらためて心より感謝を申し上げます。最終決算ではプラスになっておりますが、これは年度途中の退職者を補うあらたな雇用もできないまま人件費支出が減ったこともあり、実質は赤字決算で事業継続の危機は続いています。


2. 新メニュー「笑いヨガ」が始まりました!

視覚障害者活動センターのメニューとして、講師に濱田明展さん、きよ子さんをお迎えし、10月から「笑いヨガ」が始まりました。返事は「ワハッハ!」「いいぞ、いいぞ、エーイ!」っと両手をあげ胸を広げて声を出し、笑って答えます。参加者からは「楽しい・気持ちいい・笑うって良い」と大好評です!


3. 第1回 神戸ライトセンターまつり開催! 久々のリコーダー演奏♪ 

コロナ禍に新会館へ移転し、見送られていた神戸ライトセンターまつりが、2月3日、4日に、ようやく開催されました!神戸ライトセンター所属団体による活動紹介や体験、販売など2日間に渡って地域の方々を含め多くの皆様がご来場くださいました。久しぶりにアイライトアンサンブルによるリコーダー演奏もおこない、たくさんの拍手をいただきました。コロナの影響で披露できない日々が続きましたが、毎週火曜に英村先生のご指導のもと、地道に練習を重ねて、この日を迎えることができました!

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何かお困りですか?のお話   

歩行訓練士 住吉 葉月

梅雨入りしたかと思ったら、もう梅雨明け?と思うくらいの連日30度超え、強烈な暑さにくらくらしています。今回も、歩行訓練であったエピソードを書いてみようと思います。
Aさんと駅構内での訓練の時です。点字ブロックを伝ってホームに降りようとしたところ、行く先には2人のご婦人の姿。キョロキョロあたりを見回しています、迷われているのかも?
「どこ行かれます?神戸電鉄?」と声かけしたところ、
「国鉄やねんけど。国鉄の神戸」との返答が。
(…国鉄か、令和やし、さすがに難しいかも…)と思いつつ、「ひとつ隣の駅まで乗って、そこで乗り換えてくださいね」とお伝えしました。
別の日の訓練でも。券売機で切符を購入し、改札に向かおうとしたらこちらを見つめるご婦人、何か言いたげです。「Aさん、ちょっと待っててね」と言い残して「どうしましたか?」と尋ねると、
「カードのチャージ残高見たいねんけど。いつもは娘にやってもらってて…」とのこと。一緒にタッチパネルを見ながら残高確認、ついでにチャージもしておきました。
「引きとめてごめんね、ありがとー」「いえいえ、お気をつけて」とお別れしました。
待っていてくれたAさんに「毎度ごめんね、なんでこんなに多いんかな」
「そりゃ、住吉さんが声かけやすい表情してるんですよ」笑いながらAさんが答えます。
(…そんなもんかなぁ、まあ、いいか)
歩行訓練士は、訓練の利用者さんの安全を確保するためにいろんなところを見ています。利用者さん自身、周辺の通行人、近くや遠くの環境などなど。困っている様子の人を見かけやすいのは、もしかしたらこのせいかもしれません。
また、訓練中に道を尋ねられたら、私ではなくそこにお住まいの利用者さんが詳しく説明したり…そんなシーンもよくあります。
この街の一員としてみんなと暮らしている、お互いに助けたり助けてもらったりしている、そんなふうに感じながら、私も歩いています。

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遺贈寄付をいただきました

遺言により団体等へ寄付されることを「遺贈寄付」といいます。このたび当協会へ遺贈寄付のお申し出があり、感謝をもって拝受いたしました。視覚障がいの方々の困難を改善する事業のために使わせていただきます。故人のご冥福を心よりお祈りし黙祷をさせていただきました。尚、ご意向により匿名とさせていただきます。

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新理事ご挨拶

あらたに就任いただきました2名の理事よりご挨拶をさせていただきます。
沖久 正留(おきひさ まさる)
この度、理事を仰せつかることになりました、沖久正留です。私と神戸アイライト協会との最初の出会いは、実は今から11年前、中央区神若通にあった旧中山記念会館へ通所されている方から、最寄りの阪急春日野道駅からの点字ブロック敷設の要望でした。それまでは申し訳ないことに、神戸アイライト協会の存在を知りませんでしたが、それが縁となり以降今日まで、お話を伺う中で、こちらも種々学ばさせて頂いてきました。そうした経緯もあり、更に教えて頂きながら、少しでも何らかのお役に立てればと思っております。どうか宜しくお願い致します。

藤原 奈津子(ふじはら なつこ)
この度、理事に就任させていただきました藤原です。私は、中途視覚障がいの当事者であり、神戸アイライト協会にお世話になっている一人です。神戸アイライト協会には、見えなくなった当初の頃より本当にたくさんの支援をしていただきました。微力ですが、次は私が、神戸アイライト協会のため、同じ視覚障がいの仲間のために、何か力を発揮できればと思っております。当事者だからこそ届けられる声を少しでも伝えていくことができればと思います。どうぞよろしくお願いします。

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編集後記

今年1月に発生した能登半島地震。被災地の視覚障がい者の救援に向けて、社会福祉法人日本盲人福祉委員会が直ぐに活動を開始され、全国から歩行訓練士を始めとする支援員が現地入りされました。後方支援として当協会では義援金の呼びかけを行い、中山記念会館1階にも募金箱を設置させていただきました。神戸ライトセンター・神戸アイライト協会の連名で日本盲人福祉委員会へ3月と7月に合計100,535円を送金させていただきました。1日も早く穏やかな日常が戻りますように!

(和田)

本分終了