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神戸アイライト通信 NO.50 発行:2024年1月


会報50号! 2024年4月に設立25周年を迎えます! 皆様のご協力・ご支援に感謝です! しかし・・・

理事長  森 一成

1999年4月に発足した当協会は2024年4月で設立25周年を迎えます。「団体一人」で発足した当協会も現在はスタッフ20名あまりになりました。そして多くのボランティアの皆様、賛助会員・関係者の皆様のご協力・ご支援に支えられて今日があります。改めて感謝です!半年に1回発行している会報もおかげさまで50号となりました。この間いろいろな活動拠点を使い、現在の新しい中山記念会館は7か所目になります。新会館で2年が経過し、運営する1階のカフェも2周年になりました。
ここ数年、毎年同じようなことを書いて心苦しいのですが、神戸地域で事業展開をしてきた当協会の視覚リハ事業(視覚専門相談・視覚リハビリテーション事業)は危険水域に達したと言わざるを得ない状況です。昨年度は約800万円という大幅な赤字を、全国の皆様の緊急支援で奇跡的に埋めることができました。貴重なご支援にスタッフ一同、感謝・感激です!!しかしながら当協会の改善要望や利用者有志の7000筆を超える署名提出にもかかわらず事業予算は今年度も同じままで、来年度も改善の見通しはたっていません。事業を変更・縮小せざるをえない危機は厳しさを増しています。このような大都市での視覚リハ事業を安定的に継続している都市は人口ひとりあたり20円から30円の予算です。20円が採算ラインかと思います。しかし神戸市では移転前でも人口ひとりあたり13円と低かったのが、移転後の事業変更・予算変更で9円とさらに低くなりました。スタッフは全国的にも異例な低賃金の中で奮闘してくれていますが、危機的状況の深刻度は増しています。 

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医療のロービジョンケアと福祉の視覚リハ

ロービジョンサポートフェア シンポジウム  コーディネーター 藤原 奈津子

11月19日(日曜)、初めてアイフェスタin神戸(主催JRPS兵庫)との同時開催で、ロービジョンサポートフェアが開催されました。今回は医療のロービジョンケアと福祉の視覚リハというテーマで、多くの皆さんが参加され、会場からも活発な意見が交わされました。視覚障がい者の生活に欠かせないリハビリテーションについて振り返り、みんなで考える良い機会となったのではないかと思います。
講演では神戸アイセンター病院副院長の平見恭彦先生から最新の再生医療やロービジョンケアについてご講演いただきました。後半のシンポジウムでは、平見先生からロービジョンケアの変遷やアイセンターでの実際の取り組み等についてお話しいただき、神戸アイライト協会の専門相談員の中野さんからは、医療機関から紹介されて支援に取り組んだ実際の事例についての具体的な取り組みをお話しいただきました。視覚障がい当事者であり精神科医の守田稔先生からは、ご自身の体験をもとにリハビリ全般について、またご自身の体験から考えられたことについてお話しいただきました。その中で、視覚障がい者とファーストコンタクトを行う医療機関からいかに切れ目なく支援がつながっていくかということが大切であり、医療と福祉が連携しながら、両方で支えていくことが必要でロービジョンケアと視覚リハどちらもが欠かせないものなのだと考えられました。そして、ロービジョンケアは意見書の作成など医療だからこそできる部分を持ち、より医療に近い側面で患者さんを支え、視覚リハは、その人の生活の場で生活に即した支援を行うという、より福祉に近い側面で利用者さんを支えるという特性はあるが、どちらも、1人の視覚障がい者の生活や人生に寄り添い、その人そのものを支えていくという意味では、共通の概念を持つ支援なのではないかと考えられました。
リハビリは私たちの生活を支える1つの支援であり、また、リハビリを通して今までできなかったことができるようになるという体験は、私たちの大きな希望です。リハビリを通して支えてくださる人がいるという安心感があるからこそ、いろいろなことに挑戦する勇気を持つことができます。1人でも多くの視覚障がい者がその人らしい人生を楽しむために必要なリハビリが受けられる、そんな社会に少しでも近づいていけるように、これからもみんなで考えていくことが大切だと思いました。

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神戸アイライト通信 No. 1~No. 50

協会発足から半年後の1999年10月に発行して以来、おかげさまで50号を迎えることができました。当協会ホームページにも文章のみ掲載しています。
1. 4月から活動を開始しました

2. もうすぐ1年になります

3. 1年目の活動を無事に終了しました

4. いよいよ21世紀になりました

5. 活動も3年目に入りました

6. 3月から新神戸事務所に移転します

7. 新神戸事務所に移転しました

8. 特定非営利活動法人の認証を受けました

9. 活動も5年目に入りました

10. 大きな行事も無事終了しました

11. 旗塚事務所に移転しました

12. JBOSに加盟しました

13. 訪問歩行訓練事業実現をめざして

14. ITサポート、グッズ紹介の第2拠点を開設します

15. 木村相談役(前副理事長)が逝去しました

16. アイライトフェア2006に6団体集結!

17. 神戸ライトセンター発足! 中山記念会館が開館!

18. 神戸ライトセンター発足記念 アイライトフェア2007開催!

19. 神戸ライトセンターへ移転して1年!

20. 協会の通所施設事業に大きな転機

21. トータルサポート事業2年目! 相談対応への体制強化!

22. 10周年記念☆アイライトフェア  沢山のご来場ありがとうございました

23. トータルサポート事業3年目

24. 視覚障害専門相談事業(トータルサポート事業)継続です

25. 神戸から東日本へ支援活動を継続します

26. 中山記念会館に移転して5年目です

27. 移転5周年、リニューアルオープン  しました

28. 2021年後半のアイライト(伊丹市訪問歩行訓練事業開始など)

29. 相談が5000件を越えました

30. 2014年もよろしくお願いいたします

31. アイライト15周年!感謝です!

32. 訪問指導(個別指導)事業の今後について

33. 神戸市に初めての常勤専任の訪問歩行訓練士を配置!

34. 神戸・兵庫のロービジョン・視覚障害支援の転換点

35. 訪問歩行訓練士の配置で46名に183回実施しました

36. 視覚障害リハビリテーション普及のために

37. アイライト新神戸15周年! 中山記念会館移転10周年!

38. 神戸アイセンター開設! 日本歩行訓練士会も始動!

39. 中山記念会館が移転することになりました

40. ロービジョン・視覚障害専門相談事業(トータルサポート事業)10周年!

41. 20年に感謝を込めて

42. アイライトと神戸の視覚リハの今後(20年の感謝とこれから)

43. 歩行訓練士養成開始50年と新型コロナウイルス感染拡大

44. 新型コロナウイルス感染拡大と協会の活動

45. 新型コロナウイルス感染対策と移転予定

46. 新会館への移転と神戸アイライト協会の今後

47. 世界も大変ですがアイライトも大変です

48. 世界も大変ですが神戸の視覚リハの危機が続いています

49. 多大なご支援に感謝感激です! しかし危機は続いています!

50. 2024年4月に設立25周年を迎えます! 皆様のご協力・ご支援に感謝です!しかし・・・

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アイライトフェア2023

副理事長・IT事業部長 飯山知子

10月28日(土曜)、中山記念会館1階大会議室において、「アイライトフェア2023」を開催いたしました。会場は完全予約制で、Zoom配信はなく後日に期間限定でネット公開予定とさせていただきました。会場には関係者・スタッフを含め84名と多くの方々にご参加いただきました。今回のアイライトフェアのテーマは「大都市での視覚リハ、サポートを考える~見えない、見えにくい人も安心して暮らし活躍するために~」でした。私たちの多くは生活の大半を視覚情報に頼って暮らしています。そのため視覚に頼ることが出来なくなると、当たり前に出来ていたことが出来なくなり、生活に大きな影響を与えます。それを改善するのが視覚リハ(視覚リハビリテーション)です。視覚リハは見えにくさを改善する用具を使ったり、視覚以外の触覚や聴覚を使うなどして、移動や読み書きや日常生活の不便を改善する方法、取り組みです。その視覚リハを指導できるのは歩行訓練士等の専門家です。視覚リハを受けるためには歩行訓練士等の専門家を複数配置(雇用)した視覚リハ事業が必要です。また情報入手や移動に困難をかかえる視覚障がい者に、視覚リハの情報をできるだけ早く伝えるためには、視覚障がい専門の相談窓口でのサポート(支援)が有効です。このような視覚専門の相談担当者を複数配置した視覚専門相談事業も京都や仙台といった大都市で実施されてきました。こうした100万人以上の大都市ではニーズも高く、眼科からの紹介パンフレット(スマートサイト)の重要な紹介先になっています。今回はこういった視覚専門相談・視覚リハ事業を実施してきた神戸と仙台の歩みを振り返り、今後の大都市での視覚リハ、視覚障がい者サポートについて考える良い機会となりました。
今回のイベントは講演の2本立てでさせていただきました。1つ目の講演では、理事長で歩行訓練士でもある森から、夢の変遷「トータルサポート事業物語」と題してお話しさせていただきました。神戸市委託 視覚障害者トータルサポート事業の経緯、事業予算など大枠の説明、また分かりやすいよう用語に関しての説明もあり、視覚リハ(視覚リハビリテーション)事業を知る基礎となりました。途中、トータルサポート事業も担った視覚専門相談スタッフの紹介がありました。講演を通して神戸市と他の大都市と比較し、視覚リハ(視覚リハビリテーション)事業では、どのような事業内容でどのような事業規模が必要かを考える材料となりました。
2つ目の講演では、仙台市障害者総合支援センター(ウェルポートせんだい)主査で社会福祉士でもある小林禎(こばやしただし)氏から、「仙台市の視覚障害者支援の歩み」と題してお話しいただきました。当事者としての経緯と仕事内容から、仙台市の概況、仙台市の視覚障がい者支援の歴史的背景、仙台市障害者総合支援センターの概要、仙台市の視覚障害者支援を、時にその予算や体制の位置づけを確認しながら詳しくお話しいただきました。20年前、中途で視覚障がいとなった方のひきこもりを問題視したことをきっかけに、視覚障がいの身体障害者手帳の交付を受ける方に「情報提供・相談申込書」を配るなどの取り組み、様々な方法で繋がるよう工夫されている取り組みについてもお話しいただきました。不十分になりがちな視覚障がい者支援を官民協働で構築されていること、協働のまちづくりを推進している仙台市ならではで、役所という枠に囚われない素晴らしい仕組みづくりで、ぜひ神戸市でも取り入れて欲しい体制であることを皆が感じた講演となりました。
今回のイベントでは神戸市と仙台市を例に視覚障がい者支援の体制について知り、そして真剣に考え、どのような体制が必要で、何が足りないのかが明確になったイベントとなりました。

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歩かない訓練のお話 2023秋

歩行訓練士 住吉 葉月

急に寒さが訪れ、驚いているうちに風邪をひいてしまいました。歩行訓練でたくさん歩いて、鍛えていたつもりなのですが…。そんなわけで(?)、今回はあたたかいお部屋の中でもできる訓練のお話です。
ショートカットがお似合いのAさん、食事を作るのを楽しんでいましたが…数年前お会いした頃、見えにくさが進んでいて食材がきれいに切れない、調味料をどれだけ入れたらいいか分からないなどお困りでした。白黒のまな板、一定量出る調味料入れなどを紹介したところ、料理がはかどるようになったそうです。
もっとやってみたいことは?とうかがうと、「お魚を使った料理かな。煮つけとか作りたいけど、鍋だと上手くいかなくて…」「それなら、電子レンジ調理を今度やってみませんか?鍋で作らなくても、簡単にできちゃいますよ」「あ、やってみたーい!」と期待が高まったところ…コロナの感染拡大が始まり、いったん訪問がストップしていました。
約2年後、Aさんのケアマネージャーさんから連絡があり、私にもう一度訪問してもらいたい、という希望があるとうかがいました。ごめん、待たせてしまいましたね。約束していたかれいの煮つけを作りましょう!
ようやく電子レンジ調理がスタートです。私は手順を説明して、あとは見守っているだけ。長年料理しているベテランさんですから、包丁操作など慣れたものです。電子レンジの加熱時間も数分、あっという間に一品完成です。その日のレシピは置いていくのですが、後日遊びに来たお友達が「今度は何作ったの?」と興味津々、レシピを各々の家で再現するなど、電子レンジ調理が広がっているそうです。
最近も訓練の打ち合わせをするため電話したところ「こないだのかぼちゃの煮つけ、もう1回作ったの。簡単で美味しくできて、ラッキー!って思っちゃった。次回も楽しみにしています」とおっしゃっていました。
日々の暮らしの中で、ささやかでも「よかった!」と思えることが増えるようなサポートを、これからも続けていけたらと思います。見えない、見えにくいことでお困りのこと、お気軽にご相談ください。

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【 編集後記 】

神戸アイライト通信も今回で50号を迎え、B5からA4サイズに、文字は14ポイントに大きくしてみました。少し読みやすくなりましたでしょうか?25年の長きに渡って、ご理解ある温かいご支援をいただいた皆様と共に、これからも見えない見えにくい事で困難を抱えた方々に寄り添った視覚専門相談・視覚リビリテーション事業を続けていきたいと願っています。引き続いてのご支援ご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。

(和田)

本分終了