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神戸アイライト通信 NO.49 発行:2023年8月


多大なご支援に感謝、感激です!しかし危機は続いています!

理事長  森 一成

昨年度は協会が始まって以来、最大の危機になりました。協会の中心的な事業である「視覚リハビリテーション・専門相談の事業(視覚障害による困難をお聴きし、適切な改善のためのサポートをする事業)」が大幅な予算減少を伴う事業変更となり、2022年度は800万の赤字予算でスタートしました。事業継続が危機的状況となり、少しでも赤字を減らして事業を維持したいとの思いから全国の皆様に緊急支援をお願いしました。おかげさまで赤字額をすべて埋めることができました。皆様の非常に多大で貴重なご支援にスタッフ一同、感謝、感激です!
しかしながら神戸市への改善要望にもかかわらず事業予算は同じで、事業を撤退・縮小せざるをえなくなる危機は続いています。この事業を安定的に継続するためには歩行訓練士等の視覚リハ・視覚専門相談担当スタッフの複数の常勤雇用が欠かせません。常勤雇用した専門スタッフを複数配置している、このような視覚リハ事業実施の政令市における市民一人当たり予算は、神戸市はもともと低かったのですが、それがさらに低くなり、協会は事業継続の危機に陥っています。神戸アイセンターのある市としては非常に残念な状況です。この状況を心配していた当事者の皆さんが、視覚障害者トータルサポート事業存続を求める当事者の会として「視覚障害者(児)も安心して暮らし、活躍できる神戸をめざす署名運動」にとりくみました。全国から7500筆が集まり、市に届けるとのことです。これからも当事者・関係者と協力して神戸の視覚リハ改善に協会として取り組んで参ります。今後ともよろしくお願いいたします。

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2022年度 まとめ  

   事務局長 和田眞由美

1.神戸市より新事業を受託! しかし予算が全く足りません!
2008年に神戸市の委託事業として始まった、相談を初めとするトータルサポート事業が2022年3月で終了しました。代わって4月からは新しく2つの公募委託事業「神戸市視覚障害者生活訓練事業」と「神戸市視覚障害者生活支援事業」を受託し、対応を続けて参りました。まず見えない見えにくいことによる不安なお気持ち、日常生活における困りごとについて、ゆっくりとお話をお聴きすることをたいせつにしています。寄り添った支援のためには、専門相談員が複数必要です。歩行訓練士やIT指導員も同じく複数必要です。

2.緊急支援ご寄付のお願いを呼びかけさせていただきました!
事業委託費が大幅に減額となり、800万の赤字予算でスタートし、神戸市に対して適正な予算化を求めて交渉して参りましたが、2023年度の委託事業も同額での公募となりました。協会運営の存続危機となり、11月末には緊急支援ご寄付のお願いを広く呼びかけさせていただきました。おかげさまで2022年度は全国の皆様から多くのご厚志をいただき、最終決算では赤字額を全て埋めることができました。役員、スタッフ一同、あらためて心より感謝申し上げます。ありがとうございました。引き続き、神戸市への交渉を進めて参ります。この状況を心配した当事者有志の方々により、署名運動への動きが始まりました。

3. 身体障害者援助功労者として感謝状を拝受いたしました!
社会福祉法人 神戸市身体障害者団体連合会様主催の第69回 神戸市身体障害者福祉大会において、身体障害者援助功労者として感謝状を拝受いたしました。大会記念誌では下記のように受賞者としてご紹介くださいました。
『神戸アイライト協会は1999年に発足以来、神戸市内の視覚障害者の自立と参加に、日々、力を注いでおられ、現在は中山記念会館において、視覚専門リハビリテーション事業等の活動をされております。』
今回、神戸市視覚障害者福祉協会様がご推薦くださいました。とても光栄で有難く身の引き締まる思いです。たくさんの方々に支えていただいたことに心から感謝し、また新しい一歩を強く踏み出せればと思います。

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長いお付き合いのお話  

歩行訓練士 住吉 葉月

梅雨明け間近、蒸し暑い中の歩行訓練はなかなかハードです!今回は、長いお付き合い?のお話です。
このお仕事に携わって約20年になりますが、その間、たくさんの見えない・見えにくい方と出会って、歩行訓練をしてきました。訓練の多くは2~3回、1度きりで終了する人もいる中で、10年近くのお付き合いになる方もいます。Bさんもそのうちの1人で、年に1度くらいでしょうか、環境が変わったり、うまく歩けないと感じる場所があると訓練依頼の電話をいただきます。
今回も「駅前の音響信号が半年間故障で音が鳴らなくてね(それも問題と思いますが…)、ずっとガイドヘルパーと歩いていたけど、音響が直って久しぶりにひとりで横断してみたら、どうも曲がってしまう気がして。一度横断の確認をしてほしいんです」とのこと、早速現場へ直行です。渡る前と渡った後の点字ブロックをしっかり確認すること、焦らないことをお伝えして、安全に横断ができていました。
水分補給をしながら、最近の様子をうかがいます。Bさんの最近の大きなニュースはデイサービスに通い始めたことだそうで、どんな感じですか?とたずねると、「めっちゃおもしろい!いろんな人の話を聞けるし、ジムでトレーニングもできる。ご飯も出てくるし、お風呂も入れるのよ!」と、楽しく語ってくださいます。
話は変わって、知り合いから「なんでひとりで歩くの?ガイドヘルパーと歩けばいいのに…私だったら、もうそんなことはできないわ」と言われたそうですが…
「私ね、行きたい時に、行きたい所へひとりで行きたいの。マクドナルドへ行って、のんびりアイスコーヒーを飲みたいの。今は、そんな場所がいくつかあるのね。
そういう場所がひとつもなくなってしまったら、単独歩行はやめるかなぁ…」と、
彼女の歩くことに対する、強い思いが伝わってきました。
「うんうん、ひとりで行きたいですよね。その気持ちがある限り、何度でも来ますから、また連絡くださいね」とお伝えして、今回は終了です。
歩行訓練は1度受けたらそれで終わり、というわけではありません。環境が変わったら、生活スタイルが変わったら、行きたい場所ができたら、その都度訓練を利用して、行動や生活の幅を広げていってほしいと思います。
この場所だけは、自分ひとりで行けるようになりたいな…そんな思いがある方、ぜひご相談お待ちしています。

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編集後記

例えば、腕を骨折すると病院内で外科から必ずリハビリに繋がります。しかし目がみえない、見えにくくなって眼科を受診しても、視覚リハビリテーションは福祉の分野になるので繋がりにくいことが多々あります。「眼科では教えてもらえなかった。これまでの時間を取り戻したい。」ようやく繋がっていらした方の切実な声です。医療から福祉へ早期に繋がるよう努めて参ります。そしてしっかり受け止められる充分な体制で視覚リハを継続して行えるよう、行政に理解を求めて参ります。

(和田)

本分終了