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神戸アイライト通信 NO.43 発行:20年8月
歩行訓練士養成開始50年と新型コロナウイルス感染拡大
理事長 森 一成
神戸アイライト協会(以下アイライト)が目指してきた視覚障害による困難改善のための歩行訓練、視覚障害リハビリテーション(以下視覚リハ)の普及。それを担う職種の歩行訓練士は1970年に大阪の日本ライトハウスで養成が始まりました。今年は歩行訓練士養成開始50周年にあたります。当協会も含めて記念イベントも検討されていますが、まだ確定していません。
ご承知のように、今年の春は新型コロナウイルス感染拡大により緊急事態宣言が出され、イベントはもちろん多くのアイライトの事業も制限されました。しかし緊急事態宣言も終了し、現在は新型コロナウイルスに用心しながら事業を実施しています。イベント制限も緩和されてきたので、感染対策に配慮しながらイベント計画も立てているところです。7月になり患者数が再び増加しています。引き続き警戒しつつ事業を進めていきたいと思います。
三密(密接、密閉、密集)を避ける呼びかけで、視覚リハに大きな制約が生じました。しかし逆に多くのニーズが生まれてもいます。テレワーク、リモート会議の広がりもありパソコン相談は増加しています。しばらく歩行訓練を我慢していたかたも改めて外へ出て練習を再開しています。
それから5月20日に認定NPO法人となりました。(詳しくは下記)多くの方々がご協力していただいたおかげです。改めて心より感謝申し上げます。また5月23日に総会、理事会を開きました。長らく欠員だった二人目の副理事長に飯山知子理事が就任しました。退任の海士美雪監事には長期にわたる任務に深く感謝申し上げます。おつかれさまでした。
2019年度 まとめ
事務局長 和田眞由美
1.神戸アイライト協会 設立20周年を迎えました!
おかげさまで20年の感謝を込めて、20周年記念アイライトフェアを開催しました。シンポジウムでは初めて「福祉・医療・行政」それぞれの立場から登壇いただき、現状の課題と今後に向けて、会場の皆様とともに考える機会となりました。20年の出来事を年表にし、理事・スタッフからのコメント、ご利用の皆様、ボランティアさん、応援してくださっている関係者の皆様方から寄せていただいた温かいメッセージを1冊にまとめた記念誌を発行しました。これからも歩みを止めることなく活動を展開して参ります。
2.大阪広域生コンクリート協同組合様よりご支援継続いただきました!
生コンクリートの年間出荷量に応じた金額を社会貢献活動にあてるという温かい取り組みをおこなっておられる大阪広域生コンクリート協同組合様より2018年度に続けて多額のご寄付を頂戴いたしました。目が見えない見えにくいことで困っておられる方々のチカラになりたいとお申し出をいただき、当協会の活動を応援してくださることになり大変有難く思っております。ラジオCM枠もご提供いただき、FM大阪様のご協力により、見えない・見えにくい方へ「あきらめないで相談してみてください」と繰り返し呼びかけていただきました。近畿各地よりお電話が繋がり、お話を伺って地元団体の情報提供もおこないました。
3.中山視覚障害者パソコン講習会20年! オフィス講習を初開催!
中山視覚障害者福祉財団主催のパソコン講習会は2000年に当協会が事務局を担い、日本ライトハウスより講師派遣の協力を得てスタートしました。当初は「ウインドウズ・インターネット講習会」の名称でインターネットの接続やメールの送受信から始まり、2013年にはiPad体験講習が加わり、2019年にはワード・エクセルを使ったオフィス講習を初めて開催しました。
パソコン講習の初期とiPad体験導入時に講師を務めてくださった日本ライトハウス情報文化センターの 岡田 弥(あまね)サービス部長が2020年7月2日に急逝されました。生前のご協力に心から感謝するとともに謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
コロナと歩行訓練
歩行訓練士 住吉 葉月
いつもでしたら、印象に残った歩行訓練のひとコマを紹介するのですが…。
コロナの影響で、我々歩行訓練士も訪問自粛を余儀なくされ、電話での相談対応のみの期間がしばらく続きました。当初頭を抱えて悩んだのは、「ソーシャルディスタンス」をとること。これを守っていたら、接触の機会が多い歩行訓練はかなり難しい。歩行訓練士の廃業の危機?どうなる?どうする?…という感じで、今回は自粛期間中に歩行訓練について考えたことをいくつか書いてみます。
まず「接触は避けられない」ということ。白杖の振り方を説明したり、手がかりや障害物を手で触れてもらったりするのに、どうしても相手の腕などに触る必要があります。ルートを確認する時も、基本的に手引きで移動します。お互いが手洗い、手指の消毒をこまめにしながら臨むようにしたいと思います。
それから「オンラインで代えられない」ということ。パソコン訓練や、ミーティングをオンラインでしたという報告を見ました。ではオンライン歩行は?訓練利用者にスマホで風景を写してもらって、「あと10歩で右に曲がります」と指示する?歩行訓練士は利用者と一緒の地点で環境の説明をしますし、歩行中にポールにぶつかりそうになったら、瞬時に止めなければなりません。オンライン歩行は保留にしましょう。
そして「それでも歩行訓練は必要」ということ。普段はガイドヘルパーを利用されている方も、この度は利用時間を制限されたなどの話を聞きました。また、電話で近況をうかがうと「ひたすらステイホームしています」という方が多かったですが、少しは外で歩くなどの運動をしておかないと、筋力の低下も気になります。出かけたいのに出かけられない、それは辛いことです。近所への買い物、健康維持のための散歩など、一人でもできることを増やしておくこと、そのために歩行訓練を活用してほしいと思います。
今では歩行訓練も少しずつ再開しています。コロナが治まるのはまだまだ先になりそうです。その時にできるベストな方法を試みながら、歩行訓練も続けていきたいと考えています。皆様も引き続き、どうかお元気でお過ごしください。
おかげさまで認定NPO法人になりました
かねてより準備を進めて神戸市に申請しておりました「認定NPO法人」について、5月20日付けで認定を受けることができました。当協会の活動、また多くの方からのご支援を信頼の証として高く評価していただいたものです。あらためまして深く感謝申し上げます。
来年には公益財団法人 中山視覚障害者福祉財団様に活動拠点としてご提供いただいている中山記念会館が広く大きくなって神戸市兵庫区へ移転の予定です。当協会はまだまだ微力の団体で対応が追い付いていない状況です。特に相談業務は増加の一途で、移転後は更に多くの方のご相談をお聴きしたいと思っていますが、専門相談員も歩行訓練士もIT指導員も不足しています。神戸市から委託を受けてご相談は無料ですが、神戸市外からの約1100件を超えるご相談には補助がありません。相談してみようと思われた時に直ぐお話をお聴きできるように、一歩を踏み出してみようと思われた時にお待たせすることなく直ぐ歩行訓練がおこなえるようにするためにも、専門スタッフの増員が急務です! 新たに雇用するためには活動資金が少なくとも1200万円不足しています。
当協会の事業を安定的に支えていただけますよう、誠に恐縮ではございますが、無理のない範囲でご寄付をお願いするしだいです。なお、余分なご負担をおかけするようでしたら遠慮なくご放念くださいませ。ご寄付いただいた方は会報(神戸アイライト通信)で感謝報告をさせていただきます。匿名ご希望の場合は合わせてお知らせください。賛助会員の皆様には引き続き賛助会費(1口3,000円以上)でのご支援をお待ちしております。認定の条件として3,000円以上の寄付者が毎年100人以上必要です。
認定NPO法人へご寄付いただいた場合、税制上の優遇措置があります。個人の方は確定申告で所得税の税額控除または所得控除、神戸市民税・兵庫県民税の控除、法人・企業様にも税制優遇を受けていただけるようになりました。(賛助会費も対象です)
見えない、見えにくいことによる不安をかかえて生活されている方にとって気軽にご相談していただける場所であり続けられるよう、これからも心強いご支援をよろしくお願い申し上げます。
〔お振込み先〕郵便振替口座 : 00960-6-202643
加入者名 : 神戸アイライト協会
編集後記
中山視覚障害者福祉財団の湯川 洵 理事が財団での11年間の勤務を終えて6月末で退職されました。ようやく新会館が着工を迎え、これからというところですが、元気に務め終えられたことは何より喜ばしいことです。ご尽力に心より感謝申し上げます。それから認定NPO法人申請への取り組みに際し、長きに渡ってサポートしてくださった市民活動センター神戸の皆様にも厚くお礼申し上げます。
(和田)
本分終了