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神戸アイライト通信 NO.42 発行:令和2年1月


アイライトと神戸の視覚リハの今後(20年の感謝とこれから)

理事長  森 一成

神戸アイライト協会(以下アイライト)が設立20年が経過し、20周年を迎えることができました。この間にロービジョン・視覚障害専門相談事業の開始、常勤専任の訪問歩行訓練士の誕生、眼科医会スマートサイトの作成、神戸アイセンター発足など、神戸の視覚リハも大きく発展しました。多くの方々がアイライトと視覚リハ(視覚障害リハビリテーション)への理解を深めていただき、協力していただいたおかげです。改めて心より感謝申し上げます。
しかしながら課題もあります。神戸市内には約6000人の方が視覚障害で障害者手帳を持っています。眼科の推計ではその3倍、約18000人いるかと思います。毎年200名以上が新たに視覚障害で障害者手帳を取得しています。眼科の推計だと毎年600人以上が新たに視覚障害になっています。兵庫県内では、さらに3倍近い数になります。
相談対応、訪問指導は増えていますが、まだ一部の人を対象にしているのが実は現状です。これからの福祉は在宅支援、就労支援、中間型アウトリーチ(医療現場への訪問)が大きなニーズになっていくでしょう。常勤専任の訪問歩行訓練士は3名程度必要です。またIT機器の進歩はめざましくIT機器の専門相談員も複数必要です。それから眼科がロービジョンケアを進めて、視覚リハの専門相談を希望する人、必要とする人は増大するでしょう。電話や対面での用具やサービスの情報提供を含む専門相談員も3名は確保したいところです。それらを統括して外部とのネットワークを担当する人、それらの業務を事務処理して支える人。こういったスタッフがワンチームになって、視覚リハのトータルサポートは完成に近づくのではないかと考えています。

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ロービジョンケア、今こそ考えるべきこと

副理事長 山縣祥隆(山縣眼科医院)

まさに私がロービジョンケアを始めた1998年。そして翌1999年、神戸アイライト協会が設立されました。現理事長の森一成氏が私の元を訪れ、兵庫県にライトハウスのような拠点を作りたいと話されました。またその翌年の2000年には日本ロービジョン学会が創設されました。あれから20年、神戸アイライト協会は大きく発展し、その活動は兵庫県の視覚リハ、ロービジョンケアに大きく貢献するようになりました。先日行われた20周年記念アイライトフェア2019は多数の参加者を得て大成功でした。
また兵庫県では神戸アイセンター病院の高橋政代先生のご活躍で最先端の医療を目の当たりにすることができるようになり、ビジョンパークは新しいロービジョンケアの方法論を展開してくれています。日本ロービジョン学会の会員は約900名となり、人工網膜の研究で有名な大阪大学眼科、不二門 尚先生を第4代理事長にお迎えし、新しい時代に入りました。また、視覚補助具についても、ハイテク技術を利用した新しいデバイスがいくつも開発されるようになってきています。
兵庫県眼科医会が全国に先駆けて開発した兵庫県版スマートサイト「つばさ」は当初、難しいと言われた他職種間の連携にも効果をもたらし、これが全国展開されるに至り、全国各地でこの連携が進むようになりました。
 以上のようにこの20年間、ロービジョンケアは大きく進んだと言えますが、この進歩に満足することなく、今だからこそ、未だに解決できていない問題は何かを冷静に考えていく必要性を感じます。例えば近年、全国各地で起こっている自然災害、特に大震災への対応も全く不充分です。
 今後ともよろしくお願い致します。

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「もどかしさ」から「やりがい」へ 「ケアマネジャー」からの視覚障害生活訓練等指導者「歩行訓練士」

歩行訓練士 三輪 陽子

自己紹介を兼ね、私の転職ストーリーから・・・
福祉の仕事に就いたのは約8年前。なんとなくやってみようかな。と思ったのが始まりです。「ありがとう」という言葉と利用者様が生き生きする姿を見ることで「喜び」「尊さ」「見解を深める事ができる」そのことが、自身の活力・やりがいとなっていました。その後、介護福祉士を取得、5年の実務経験を積み、試験、研修をクリア、約3年前に念願のケアマネジャーになりました。

「ニーズ」と「介護サービス等」とを結びつけ、QOL向上に重要な要としての役割を担うケアマネジャー。業務の一つである訪問による要介護認定調査の業務を行ってきましたが、見え難さから日常生活を営むうえで不自由な生活を強いられた状態の方がたくさんおられることに愕然としました。
「見えへんから、外にも出られへん」「見えへんから、調理できへん」等・・・
身なりを整える、調理する、そして自宅から目的地までの移動等・・・意識せずに出来ていたことが困難となり、身体活動の減少がおこります。そうなると下肢筋力の機能低下が起こり、転倒リスクファクターの要因となり、介護度が進む事は一目瞭然。
「こうしたら、生活がしやすくなるよ」「ここに相談できるよ」そう伝えたくても、その時の私の立場は、介護認定調査員。相談員としての訪問では無いために「担当のケアマネージャーさんに困りごとは伝えてください」と、それだけで何も伝えることができない自分にもどかしさを感じる事が多くなりました。
この悶々とした感情の原因【もどかしさ】を【やりがい】に変える事が出来ないものか。高齢者に関わらず、見え難さを感じている方の「真のニーズ」に早期にたどりつき、適切に対応するために、視覚リハのスキルを身につけ自己研鑽しよう!そう思い、「歩行訓練士」になろうと心に決めたわけです。日本ライトハウスにて、視覚障害リハビリテーションに関する知識、及び生活訓練等指導者として必要な知識を学び、まだまだ、孵化したての「ひよっこ歩行訓練士」ですが、「ありがとう」という魔法の言葉と沢山の笑顔の為に頑張ります。

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20周年記念「アイライトフェア2019」

IT事業部長 飯山知子

10月27日(日曜)、神戸市立葺合文化センター大ホールにおいて、20周年記念の「アイライトフェア2019」を開催いたしました。
視覚障害当事者の方、ご家族、医療福祉関係者などのご参加でスタッフ含め約130名の盛況でした。会では、神戸アイライト協会の20年を振り返ると共に今後の神戸地域の視覚障害リハビリテーションについて共に考える良い機会となりました。

今回はミニコンサートが2つ入り、華やかな会となりました。1つ目のミニコンサートでは、恒例となっております「アイライトアンサンブル」のメンバーによるリコーダー演奏です。年々上手になっていると皆様から好評をいただいておりますリコーダー隊に加え、打楽器やハンドベルなどの楽器でも頑張ってくれました。
2つ目のミニコンサート2では、アイライト新神戸の通所メンバーである高尾美智子さんと恩師である繪野雅子さんによるキーボードと歌です。二人のハーモニーに来場者も癒されました。

報告では神戸アイライト協会の20年を3人の理事が振り返りながら語りました。会長の新阜理事からは、神戸アイライト協会設立時の森理事長との話や設立後、何もない無い中で活動を開始した様子などが語られました。成戸理事からは自身の神戸アイライト協会との係わりが語られました。最後の和田理事からは20年の感謝と大きな課題として相談件数の増加に対して相談員も歩行訓練士も事業運営のための事務方も足りない現状と支援を呼びかけました。

シンポジウムでは、4人のシンポジストそれぞれの立場からその現状と今後の展望について話がありました。歩行訓練士である相談員からは、実際の相談の様子から歩行訓練に至るまで具体的な数字を上げての分かりやすい説明がありました。IT担当からは機器関連相談の現状の説明、また日常生活用具費の有効利用する為にも訪問の必要性があるという話が出ました。

公共の立場として神戸市障害福祉部の樫原伴子部長からは、神戸市での取り組みの分かりやすい説明があり、足らない所に関して取り組んでいく必要性について話がありました。視覚障害リハビリテーション協会会長でNEXT VISION ビジョンパーク情報マスターの和田浩一さんからは、ビジョンパークでの相談対応の現状の話があり、連携カードにより眼科からロービジョンケアそして相談へ繋がる仕組みについて具体的な件数を交え説明がありました。社会の仕組みを変えるという夢に期待が膨らみます。山縣院長からは、医療の現場からロービジョンケアの取り組みの進展について、スマートサイトの発展について、またロービジョン連携手帳についても話がありました。

地域格差について、視覚障害者の高齢化についてなどの問題も挙がりました。会場からも質問が出て、シンポジストだけでなく会場にいる全ての人が一緒に視覚障害者のリハビリテーション、及び専門相談について考える機会となりました。これからも様々な立場の人と共に神戸の視覚リハを発展・充実させていく為に進んでいくことを心に刻みました。

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最近の歩行訓練から

歩行訓練士 住吉 葉月

最近印象に残った歩行訓練の一コマをご紹介します。

秋の初め頃、Aさんから歩行訓練の希望がありました。この1年で見えにくさが進み、今まで一人で行けていた場所に行けなくなってしまい、どんどん自信を無くしている状態ということでした。
控え目で静かな印象のAさん、うつむきながら話します。
「長年勤めてきた仕事も辞めました。このままだと、ますます引きこもってしまいそうな気がするんです。せめて今通っている場所には、これからも通い続けたい。これ以上は、手放したくないんです」

さあ、歩行訓練スタートです。早速バスに乗り、B駅まで移動します。目的地は以前から続けている習い事の教室で、入口は通りに面しているのですが、視野がとても狭いために見過ごしてしまうことが多いそうです。

Aさんは白杖の基本操作を何年か前に一度教わってはいるものの、普段は白杖を持っているだけの状態、さて、どうやって入口を見つけるか?
Aさんに、B駅の出口から白杖を振って、壁をコンコン叩きながら伝い歩きすることをお伝えしました。教室の入口では壁がなくなるので、白杖が大きく振り切れるはずです。更に入口にはマットが敷いてあることも言い添えました。半信半疑で歩き出すAさん。白杖がスコーンと振り切れた瞬間、Aさんの表情がぱーっと変わりました。
「ここが入口です。どうでした、見つけられそうですか?」
Aさん「分かります!こんな方法、考えもしませんでした。もう歩数を数えなくていいんですね!」
「そうですね。探すのが、ちょっと楽になるでしょ?」
Aさん「これなら一人で来られるかも…?」
 何度か繰り返し練習して、コツも得られた様子。「いかがでしたか?」と尋ねると、Aさん持ち前のチャーミングな笑顔で「これなら大丈夫、歩けそうです」と答えてくださいました。

白杖を操作して歩くと、杖先から伝わる情報がたくさんあります。自分では気付けない手がかりやヒントがあるかもしれません。道で迷うことが多くなった方、安全に歩くための練習をしたい方、よかったら一度ご相談ください。

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編集後記

5月「令和」という新しい時代が幕を開けました。当協会は20周年を迎え、これまでの感謝とともに、これからも歩みを止めることなく未来へバトンを繋いでいく決意をあらたにいたしました。10月には台風19号によって日本各地に豪雨被害が発生。当協会では募金の呼びかけをおこない、皆様からお預かりした75,067円を、大災害被災視覚障害者支援対策本部へお届けしました。ご協力に感謝申しあげます。阪神・淡路大震災から25年。1月17日には追悼の集いをおこないます。

(和田)

本分終了