以下本文

神戸アイライト通信  NO.16
発行:2006.12

・アイライトフェア2006に6団体集結!
・兵庫県の訪問型歩行訓練開始について思うこと
・今年のアイライトフェアをふりかえって
・アイライトフェア2006をふりかえって(参加団体よりa>
・ロービジョン関係の最近の話題

アイライトフェア2006に6団体集結!

10月29日にアイライトフェア2006を開催しました。
今年度は6団体で実り多いパネルディスカッションを実施するなど、今まで以上にパワーあふれるイベントとなりました。
さらに常時パワーが集結する方向で連携、協力していきたいと思います。
(くわしくは3面以降をごらんください。
)またフェアの中で全視情協より故木村文子副理事長に10月18日に贈呈された感謝状が戸田津世子点V連前事務局長より披露されました。
アイライトバザー開催!11月23日にはアイライトITファームで4年ぶりに神戸アイライト協会としてのバザーを開催しました。
皆さまからご提供いただきました品物もたくさん購入していただき、山盛りの野菜もほぼ完売いたしました。
また地域の方にもお越しいただき、交流を深めることもできました。
またアイライトITファームでは大活字カフェin神戸アイライトを5月から11月にかけて4回開催しました。
(株)大活字による便利グッズの紹介・販売や、プレクストーク、よむべえ、ものしりトークの体験会などを実施しました。

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兵庫県の訪問型歩行訓練開始について思うこと

事務局長   

訪問歩行指導の兵庫県での事業化を目的に神戸アイライト協会は活動を開始し、その実現をめざしてきました。
兵庫県が訪問型歩行訓練を10月から開始しましたが、改めて訪問歩行の制度について考えてみました。
私たちの長年の悲願であり、ここ数年は直接、兵庫県の障害福祉課に何度か説明し、お願いしてきました。
その結果、今年度、訪問型歩行訓練事業が兵庫県の事業として兵庫県視覚障害者福祉協会を委託先(申し込み先)として開始されることになりました。
しかし、その内容は協会の期待するものとは大きく異なる内容であり、いくつかの問題点があると指摘してきました。
それは全国的にも例のない形式でした。
利用者が原則有料という点です。
歩行するのに費用を払う晴眼者はいません。
また晴眼者は指導(歩行訓練)を受けることもありません。
誰しも人に教えてもらわずとも歩きたいと思っています。
しかし全盲になって、すぐに白杖で歩ける人はまずありません。
人は目で足元の安全確認をしたり、進行方向を確認したりして歩いています。
白杖でその代わりをするのは容易なことではありません。
その苦労を、そして危険を乗り越えて、前向きな気持ちをもって歩行訓練に取り組み始めます。
特に視力を失って間もない中途視覚障害者にとって、歩行訓練への申し込みは勇気のいることです。
しかし、そういった人にこそ訪問型歩行訓練は必要なことです。
歩行訓練士は介助者と歩く手引き歩行の指導、家庭など屋内での移動、その他視覚障害福祉に関するケースワークもできます。
基本的な技術や情報を得るだけでも多くの人は安心することができます。
さらに少しでも白杖を使って自分で屋外歩行ができれば、大きな勇気を与えることができます。
こういった人たちに費用面や申し込み方法でのバリアは設けてはいけないと考えています。
指摘後の話し合いで初回のみ無料で開始することになりました。
さらなる改善が望まれるところです。
それから、福祉サービスは受ける人、提供する人(歩行訓練士)双方が負担なしで取り組めることが重要です。
そういった観点から、この指導を担当する歩行訓練士が安心して取り組める生活保障も必要です。
近畿で同じような大都市をかかえる京都、大阪では早くから歩行訓練士が府や市といった自治体の予算で訪問歩行訓練の専任として従事しています。
また専任でない県でも生活保障を考えたシステムになっています。
よりよいシステムで安定的に地域サービスを続けるためには、重要なことだと考えています。
私たちはまだまだ微力ではありますが、多くの関係者や支援者と協力して少しでもよい方向へ行くように今後も努めたいと思っています。
こういった問題はありますが、不十分な中でも私たちの提供する歩行訓練で少しでも生活が改善され、喜んでいただけることは、私たちの喜びでもあります。
歩行指導の申し込みや相談は大歓迎です。
ご遠慮なく、いつでもご連絡ください。

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今年のアイライトフェアをふりかえって

理事長 

今年のアイライトフェアは、神戸アイライト協会が、独自に行ってきた形式を変えて、点訳ボランティアグループ連絡会(点V連)の皆様と共催とさせていただきました。
現在の福祉制度が変化しつつある状況下でのそれぞれの団体や組織の役割は、とても貴重で尊いものだと確信されます。
ボランティアとして抱えている問題や課題は、個別の団体だけで解決できないことも多く見られるようになりました。
多くの仲間と総合的に話し合う時間も貴重な時間といえるからです。
とかく自分達の活動の検証や不安に対しての相談等をする機会や時間もありません。
そのための横のつながり、つまり各団体の意見交換ができやすくするためにパネルディスカッションの形式となりました。
当日は、視覚障害者数十名を含む140名以上の皆様が参加していただき大盛況でした。
午前中の視覚障害ユーザーを対象とした相談会、午後の眼科医の立場からの山縣先生のご講演はとても熱心に聞かれる方がたくさんおられました。
アイライト新神戸の通所生とスタッフによるコーラスもさわやかに会場に流れていました。
神戸アイライト協会も制度変革の転換点での運営や二つの作業所のこと等、神戸市をはじめ兵庫県各地で視覚障害者リハビリテーションの実践の一翼を担わせていただいている報告を行いました。
パネルディスカッションでは、点V連(点訳)、兵庫県伴走者協会(スポーツ)、ASV(インターネット接続支援)、朗V連(朗読)、JBOS(外出支援)の各グループの代表が話し合いました。
各団体からは、援助の方針や展望、抱える課題等についていくつか意見が出ました。
具体的には、各団体のスタッフの確保ができない場合があること、ユーザーの積極的な参加運営の確保の難しさ、スタッフの高齢化問題、設立当初と援助方針や手段の較差が生じた問題、自立支援法との整合性等いくつかの点で考えさせられる意見も出ました。
会場のユーザーからは、支援法による事業所のヘルパーとボランティアとの区別がうまくできないと困ることがあるとのことでした。
この会を通じて、いくつかの課題や問題について、共通の理解や認識が持たれたように思われます。
来年も新しい取り組みで兵庫県下の視覚障害者の福祉レベルの向上につなげる会とさせていきたいと思いました。
        

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アイライトフェア2006をふりかえって(参加団体より)

点訳ボランティアグループ連絡会  副会長 

毎年点字を取り巻く環境について知り、よりよい点字を作成するために開いていました全体会を、今年はアイライトフェア2006に共催させていただき、皆様のご協力で有意義な会にすることができました。
 ボランティアの活動・悩み・問題などの話を聞き、今私たちは岐路に立っていると感じました。
どのグループも何も分からない所から必死に走って来てやっと順調に活動が出来はじめ、まわりを見回す余裕が出来てきた所なのではないでしょうか?共通の問題点も有りこれから一緒に解決できる方法など考えていけたらと思います。
視覚障害者の関係団体が一堂に集まりこのような話をする事で、将来の構想が見えてきたような気がします。
今日のこの会を踏み台にまた一歩前進していけたらと思います。

兵庫県伴走者協会  会長  

パネルディスカッションでは、「視覚障害者と一緒に歩こう・走ろう!2人4脚の風」と手軽に出来る運動を日常的に行い、視覚障害者の皆さんと共に私たちも健康的な生活を送りましょうと呼びかけました。
今回のようにいろんなボランティア団体の皆さんのお話が聞けたのは、会場の皆さんと共に私たちもよかったと思っています。
今後は、視覚障害者支援団体が協力してイベントなどを検討するきっかけになるといいと思います。

          兵庫県朗読ボランティア連絡会  会長 

今後の朗V連のありかたなど貴重な意見を聴く事ができ、感謝いたします。
一つは、視覚障害者以外の方へのテープ、CDの貸し出しについて、また、パソコンを通じての情報公開、テープを聞きたいがどうしたらいいかなどでした。
テープを聞きたい方へは、朗V連加盟グループほほえみのテープを毎月送らせていただくようになりました。
パネルディスカッションでは、視覚障害者の方を取り巻くボランティア環境がわかり、みんな仲間同士スクラムを組んで、楽しく活動して行きたいと思いました。
ありがとうございました。

ASVこうべ リーダー

例年のように今年もアイライトフェアに参加させていただきました。
フェアはいつものようにミニコンサートでスタート、午前中は各種ボランティアグループが、よろず相談を設けるといったお馴染みのスタイルで始まります。
初めての試みとしておこなわれたパネルディスカッションでは各種ボランティアの活動状況、現状、問題点など興味深く、大変参考になりました。
 また、昨年は短時間でしたが木村さんも会場に来られていたのですが、今回は彼女への黙祷で始まり、挨拶に立たれた方々からも哀悼の言葉があり、故人の存在の大きさを痛感した会でもありました。
ASV(全国視覚障害者インターネット接続支援連絡会)として今後もこのフェアに参加し続けられるようがんばっていきたいと改めて考えさせられる場となりました。

全国視覚障害者外出支援連絡会(JBOS) 事務局長 

内容は違っていても、同じ視覚障害者へのサポートをボランティア活動で行っている5団体が、アイライトフェアで集結した。
点訳、朗読、手引きなど情報と行動の不自由をカバーする活動だけでなく、ITやスポーツなど余暇を充実させることにも広がってきている。
シンポジウムで活動内容を共有しあうことにより、各団体のそれぞれの役割がより明確になった。
また、抱えている課題にしても、制度・ボランティア・ユーザーなどが絡み合っていることが多い。
単に誰かが動けば解決する事ではなく、共感しあい協力していくことの大切さを知らされた。
視覚障害者とボランティアは、一方的に支援する人、される人の関係ではなく対等に誰もが暮らしやすい社会に向けて協働する仲間でありたい。
その仲間が集う拠点としての神戸アイライト協会になることを期待していきたい。
近い将来「神戸アイライト協会やったらいろんなこと相談できるで。
」とユーザーのみならずボランティアにも言ってもらいたいですね。

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ロービジョン関係の最近の話題

山縣眼科医院 医師  (神戸アイライト協会 副理事長)

今年ももう早いもので師走になりました。
今年、最後のロービジョン関係のご報告は学会関係でふたつあります。
11月29日(水曜)から東京の増上寺で、国際・アジア・日本神経眼科学会が合同で行われましたが、最終日の12月3日(日曜)に講習会が行われ、私は司会役として出席してきました。
テーマは「視覚障害にならない視覚障害」という変わったものでした。
この講習会の主旨は、視力の低下や視野の障害だけが不自由なのではない、ものが二つに見える複視、瞼(まぶた)が下がる眼瞼下垂(がんけんかすい)、瞼が小刻みにふるえる眼瞼けいれんなど、世間一般また医学界においても視覚障害者とはみなされていないけれども、ご本人にとっては日々、本当に辛い毎日を送っておられる病気、患者さんへ焦点をあてたものでした。
特に眼瞼けいれんの患者さんが、主治医の先生の協力を得て患者友の会を立ち上げ、定期的に集まって色々な活動をされているという報告が、会の代表の方からありました。
活動は治療に用いる薬の値段を下げてほしいという製薬会社への具体的な要望も含まれているそうです。
この会の設立を提案し、協力してきた眼科医を含む眼科スタッフに敬意を表したい気持ちになり、会の発展を祈りました。
来年の日本ロービジョン学会学術総会は、過去2年と同じく視覚障害リハビリテーション研究発表大会との合同会議です。
2007年9月22日(土)から24日(月)まで、大阪市天王寺区上本町の大阪国際交流センターで行われます。
会長は大阪市立大学眼科教授の白木邦彦先生と、日本ライトハウスの岡田 弥さんです。
シンポジウムのひとつは「視覚補助具の選び方」でこれは私の担当です。
そのほか、「重度視覚障害乳幼児への対応」「地域での視覚リハの動き」「歩行訓練の現状」が計画されています。
その他、市民公開講座も予定されていますし、学会に参加登録をしないでも、無料で一般参加の可能な機器展示は、かなり内容の充実したものが期待できそうです。
是非、今から来年の予定に入れておいて下さい。
最後になりましたが、季節柄、健康にはくれぐれもご留意下さい。

本分終了