以下本文
神戸アイライト通信 NO.12
発行:2005.3
・JBOSに加盟しました!
・アイライトフェアを振り返って
・第6回日本ロービジョン学会の紹介
・メモリアル・イベント「視覚障害被災者の十年」から
・歩行訓練士による白杖歩行訓練
JBOSに加盟しました!
2003年度にガイドボランティア講習開催後、協会の活動等で多くのガイドボランティアの方に活躍していただいています。
また個人的な用事で利用される方にもおこたえするようになりました。
それから今年度途中より県外から神戸に来る方の対応も始めました。
JBOS(全国視覚障害者外出支援連絡会)という視覚障害者の外出支援を行っているボランティア団体の全国ネットワークの兵庫県での連絡窓口となりました。
ガイドボランティア、グループ募集中!!今後、こういったニーズはまだ増えると思います。
ガイドボランティアの人数はまだまだ足りません。
最近、増加しているガイドヘルパーの方にもぜひボランティア活動も考えていただければありがたいです。
また外出介助ボランティアのいるボランティアセンターや、他のガイドボランティア団体とも連携して兵庫県内のネットワークも拡大していきたいと考えています。
それから他の分野で視覚障害者支援にとりくんでいる熱心なボランティア団体と連携したセンター的機能がある施設も必要と考えています。
連絡をお待ちしています。
アイライトフェアを振り返って
理事長 義弘
2004年10月24日(日)に神戸市東部在宅障害者福祉センター多目的ホールで第三回目となるアイライトフェアを行いました。
この会は、神戸アイライト協会が地域の視覚障害者のサポートステーションとしての役割を果たし、総合的なリハビリテーションを目的としていること等を考えると大切なイベントになってきています。
午前中は視覚障害者関係団体やサポートグループの活動紹介と総合的相談会を行いました。
それらは視覚障害者にとって必要な援助ばかりです。
パソコン・点訳・スポーツ・歩行訓練・ピアカウンセリングの各内容でした。
会場の雰囲気は、とてもにぎやかで、熱心さや真剣さが伝わってきました。
午後は、アイライト新神戸の利用者のミニコンサートが和やかに行われました。
昨年に引き続いての当協会副理事長でもある山縣兵庫医科大学助教授による目の病気の最新情報と治療の動向についてわかりやすく講演がありました。
それに引き続き当協会副理事長の木村さんのボランティアについての自らの体験からのお話はとてもうなずける点が多くあったように思いました。
木村さんのお話の中で、ボランティアは継続性が大切であること、小さな親切でなくユーザー(利用者)が必要とする活動でなければならないこと、ユーザーに後押ししてもらえる活動であること、人生の終焉の際に豊かな大地が自らの目の前に広がっているように感じられる活動を望みたいこと等ユーモアと体験をまじえながら話されていました。
私達、神戸アイライト協会では、このような会を継続して開催していきたいと考えています。
視覚障害者を総合的にサポートしていく団体として、木村さんの講演にもあったユーザー(視覚障害者)と共に歩む拠点を目指した活動を続けていきたいと考えています。
ご支援、ご協力をあらためてお願い申しあげます。
第6回日本ロービジョン学会の紹介
(兵庫医科大学)
神戸アイライト協会の会員の皆様、お変わりありませんか?今年は竜巻が起きたり、大雪が降ったり、挙げ句の果てに地震で悲惨な津波まで起こったり、世界中の気候が普通でありません。
日本でも同じように自然災害が後を絶ちません。
気候的にもまだまだ寒い日が周期的にやってきていますし、インフルエンザも流行していますので、ご健康にはくれぐれも注意して下さい。
外出して帰宅したら、必ず手洗いとウガイを忘れずに励行してください。
さて過去2回、このコーナーを借りて目の病気について簡単に解説しましたが、私はこの秋、9月17日(土)?19日(月)に行われる日本ロービジョン学会の会長に任命されていますので、今回はその学会の紹介をしたいと思います。
日本ロービジョン学会は西暦2000年に設立された新しい学会です。
できるだけ大勢の参加者に来て頂きたいということで、初めは別の眼科の学会と同じ日に開催していましたが、学会の特色を出すために最近では独立して開催しています。
そしてこの秋の第6回大会は、実は画期的な学会になることが決まりました。
それは視覚障害リハビリテーション研究発表大会との合同会議の実現です。
視覚障害をもつ人々が社会復帰を果たすためには、医療、福祉、教育、行政など様々な職種の方々の密接な連携が必要です。
しかし現実的には連携が良いとは決して言えません。
そしてそれはどこか特定の分野が悪いというのではなく、すべての分野が考えなければならない共通の問題です。
日本ロービジョン学会にも視覚障害リハビリテーション協会にも、すべての分野の方々が参加されていますが、どちらかというと前者は眼科医が中心で、後者に眼科医の参加はわずかです。
そこで今回、私は日本ロービジョン学会を主催するにあたり、テーマを「連携」とし、それぞれの分野が密接な連携を行うにはどうすればいいのかということを考える会にしたいと思っています。
これまでそれぞれが行ってきた会の構成、内容は全く異なりますが、合同の会議をもつことでお互いの理解が得られ、必ず連携につながるはずです。
残念ながら、どちらかの会の会員でなければ会議への参加はできませんが、この学会を契機に、日本の視覚障害リハビリテーションが一歩でも進歩すれば、多くの視覚障害者の方々にとって福音となるはずです。
また会議期間中、視覚障害をもつ参加者のガイドについては神戸アイライト協会にお願いしていますので、積極的にご協力を頂ければ幸いです。
よろしくお願いします。
2003年の神戸での視覚障害リハビリテーション研究発表大会ではガイドボランティア等で協力させていただきました。
今回もできるだけ協力させていただく予定です。
メモリアル・イベント「視覚障害被災者の十年」から
副理事長 木村
1995年1月17日午前5時46分、未曾有の大震災が阪神地方を襲い、わたしたちは、かけがえの無い多くのものを一瞬の内に失いました。
十年の歳月が流れた今、あの時ボランティアは何ができたのか、視覚障害者は、どのように避難したのか、その救援体制はどのようなものだったのか等について改めて検証し、今後へ向けての対策を発信したいとの願いから、昨年12月4日、「あの時、わたしたちは!」―視覚障害被災者の10年―を、神戸市中央区の神戸中華会館東亜ホールにて開催しました。
まず全員の黙祷の後、神戸アイライト協会通所生による鎮魂の思いを込めたリコーダー演奏と合唱に始まり、其の後、5名の視覚障害被災者の体験発表と続きました。
午後は、基調講演「被災・支援体験を語り継ごう」と題して元ハビー代表の川越利信氏、ついで基調報告「視覚障害被災者千人アンケートから」が当時の「災害時における視覚障害者避難調査委員会」委員の久保明夫氏から、報告されました。
そして、それらの発表・講演・報告を受けて最後に4名のパネラーとコーディネーターによるパネルディスカッションを行い、今後に向けての取り組みや、対策を討議しました。
特筆すべきは、このイベントに新潟・中越地震で大きな被害を受けた新潟県障害者福祉協会理事長の松永秀雄氏が、遠路参加して下さったことです。
松永さんは、「私たちも新潟でまさか地震があるとは夢にも思はなかったが、10月23日に起こってしまった。
これから新潟としてもどのように取組んでいけば良いかと考えた時、この催しものを聞き飛んできた」と話されました。
そして続けて「できれば新潟で地震が起こる前に参加したかった」と。
誰の思いも、それに尽きると思います。
誰もが「まさか」と思っています。
現に、あの体験を経た私たちでさえ、すでに気の緩みが生じています。
今こそ再度、気を引き締め万全の準備に取りかかるべきです。
特に、情報弱者と言われる障害者や外国人への情報の伝達手段、また災害弱者と言われる人たちへの二次避難所の問題など、早急に取り組むべき問題だと痛感しました。
私たち神戸アイライト協会は、この問題解決に向けて一歩ずつでも前進して行くことをお約束し、イベントの報告と致します。
尚、当日の記録は、いずれ編集して出版の予定をしております。
また、イベント当日のビデオ(完全版全3巻)が完成しています。
必要な方は、事務局までお問い合わせください。
歩行訓練士による白杖歩行訓練
事務局長 森 一成
当協会の活動目的のひとつは、兵庫県内に訪問型歩行訓練士の配置(派遣の制度化)ですが、白杖の歩行訓練や歩行訓練士自体がまだまだ知られていません。
盲導犬は小学生でも知っていますが、歩行訓練士(歩行指導員)は福祉関係者ですらほとんど知られていないのが実情ではないでしょうか。
実際は盲導犬で歩いている人よりも、歩行訓練士の指導で歩いている人のほうが多いのにもかかわらず。
そこで視覚障害者の歩行と白杖歩行訓練・歩行訓練士について、あらためて考えてみます。
視覚障害者の歩行と歩行訓練士
視覚障害者の2大困難は情報入手と移動と言われています。
目が不自由になったとたん、歩行をあきらめる人もいます。
家族も心配して外に出さないこともあります。
しかし、家の中でばかりすごすと、心身によくないのは他の障害者や高齢者と同じです。
移動の権利確保は車椅子の方と同様、切実な問題です。
ただ目の情報で歩いてきた方にとって、目を使わない(あるいはほんの少ししか使わない)方法での歩行は容易ではありません。
しかしあまり知られていませんが、歩く方法はアメリカでは第2次世界大戦のころから開発され、専門のスペシャリスト(歩行訓練士)によって指導されています。
日本でもアメリカの歩行訓練士の指導のもとに、1970年から養成が始まりました。
現在、約400名の有資格者が従事しています。
下肢の身体障害者は理学療法士等のリハビリテーションによって、機能回復して歩く力がつくことは知られています。
視覚障害でも歩行訓練士の適切な指導(リハビリテーション)で、歩く力がかなり回復する道があるのです。
下肢障害者の場合もマンツーマンになるほど効果があると思いますが、視覚障害者の歩行指導は原則的にマンツーマンです。
それは安全上の理由と、一人一人が歩くときに必要な視覚以外のてがかりの情報(ランドマーク)や必要な情報(足元、前方、上部、周辺部、音声情報)などが異なるためです。
こういった視覚以外のランドマークの発見や情報提供は家族を含め一般の方には困難です。
これらのランドマークや情報をつなぎ合わせ、組み立てて視覚障害者は歩くことができるのです。
そのランドマークを教え、つなぎ合わせ、組み立てるのを助けるのが歩行訓練士です。
歩行訓練士の仕事
歩行訓練士が指導するのは白い杖で外を歩く方法が中心ですが、ほかに人と歩く方法、屋内をひとりで歩く方法も教えます。
また歩行以外の困っていることの相談をきいたり、日常生活動作等の指導をしたりもしています。
こういった歩行訓練士は、盲学校や視力障害者センター、日本ライトハウスで主に指導しています。
通常は半年や1年以上そういった施設で指導を受けることになります。
しかし、多くの人は半年以上も家を離れてそういった施設で指導を受けることは難しい状況があります。
それともうひとつ問題なのは、たとえ施設で歩行指導を受けた人も、自宅へ帰ると道の状況が異なるために歩けない人も多い状況があります。
施設で練習した道とランドマーク、情報が異なるために、こういったことは当然起こります。
歩行訓練士には先に述べた施設に入所、通所している人を指導している者が多いのですが、歩行訓練士には在宅の視覚障害者を訪問して指導する者(訪問型歩行訓練士)もいます。
実はこの訪問型の歩行指導で、上記の問題の多くは解決できます。
ガイドヘルパーと歩行訓練士の訪問指導
「一人歩きは危険、ガイドヘルパーさえいればいい。
歩行訓練士は必要ない。
」といった考えの人が晴眼者だけではなく視覚障害者の中にもいます。
はたして、それでいいのでしょうか。
この考えには抜けているところがあると思います。
一つ目はガイドヘルパーがどのような場合でも利用できるとは限らない、すべてカバーできない点です。
通勤、通学、作業所等への通所は多くの場合は対象外です。
でも通勤、通学、通所こそが最も必要度の高い歩行ではないでしょうか。
それから利用時間制限があったり、休日・早朝・夜間や急用には利用が難しい場合もあります。
それから自宅近所への歩行はガイドヘルパーがいいのかということです。
たとえば自宅から近くのパン屋さん、コンビニ、スーパーなど少し練習すれば安全に行ける可能性が高い場合は多いはずです。
またちょっとした買物に、ガイドヘルパーをお願いしなくても行けることは、その人の自立心を強くし生きる自信につながります。
鉄道やバスなどの最寄の駅も少し練習すればいけることは、かなりあると思います。
駅にさえ行けば、自力または駅員さんの協力で行動範囲は大幅に広がります。
こういった場合、歩行訓練士の安全で能率的な指導が、生活向上につながります。
神戸アイライト協会が発足以来とりくんできた訪問指導(歩行訓練等)は、1999年度から約500回実施しました。
多くの方に白杖での一人歩きをサポートし、人によっては読み書きをサポートしました。
その中には失明以来初めて電車利用のできた人もありました。
特に白杖での歩行技術は通勤、通学、通院、家事(買い物、所用)など生活の根幹をなす切実な問題です。
転落事故、交通事故への大きな抑止力になります。
現在も途切れることなくサポート希望がきています。
すべてマンツーマンの指導です。
ただ協会の活動は公的な事業としての実施ではなく、限界が来ていることも事実です。
ガイドヘルパー派遣事業や盲導犬貸与事業と同じように地域で訪問型歩行訓練士派遣事業があって、安全で、能率のよい歩行により生活を向上し、社会参加を促進することができます。
人により、その時により適切な移動方法は異なります。
いろいろな移動方法が地域に準備されて、選択できることが重要なのではないでしょうか。
12月のメモリアルイベントは午後から雨になるあいにくの天気だったのですが、大勢の方に来ていただき感謝しています。
当日中越地震、台風水害被災者への支援カンパを募りました。
42261円ご厚志を頂きました。
協会から17739円をたして新潟県視覚障害者協会に30000円、それから兵庫県共同募金会台風水害義援金に30000円をふりこみました。
それから但馬地区のガイドヘルパーの方に視覚障害関連書籍、点字器贈呈しました。
ありがとうございました。
本分終了