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神戸アイライト協会設立10周年記念誌
神戸アイライト協会10周年記念誌編集委員会 2009年10月25日
10年に感謝を込めて
理事長 森 一成
当協会発足から10年が経過しました。
まだまだ微力で課題の多い発展途上団体で、振り返る余裕はあまりないのですが、ここまで継続して活動させていただいた感謝を込めて少しだけ振り返らせていただきます。
神戸、兵庫に訪問型専任の歩行訓練士がいない状況を改善したいとの思いで、1999年4月に当協会は任意団体のNPOとしてスタートしました。
活動を開始すると多くの協力者が現れてくれました。
中でも盲養護老人ホーム指導員の新阜義弘(におか よしひろ)会長、当時は兵庫医科大学(現在は山縣眼科医院院長)の山縣祥隆(やまがた よしたか)副理事長、当時はASV(全国視覚障害者インターネット接続支援連絡会、現在ASVこうべ)のコーディネーターだった木村文子(きむら あやこ)元副理事長(後に相談役)はすぐに理事として参加してくれました。
訪問歩行指導も開始しましたが、公的事業ではないのでお試しとしてわずかな利用会費と交通費実費をいただいていました。
そしてイベント開催(視覚障害リハビリテーション研修会等)、パソコン講習、講習会指導(ガイドヘルパー、ボランティア)と現在につながる一連の活動も始まりました。
2000年からは少しずつ活動も広がり、さきの理事4名で家賃を分担しJR灘駅の近くにワンルームマンションを借りました。
定期的な理事会も始まりました。
2002年4月から生活向上と交流を深める場所としての通所施設アイライト新神戸(現在の新神戸地域活動支援センター)も開始しました。
ここではASVとの協働も進みました。
多くのスタッフ、ボランティアの皆さんがこの時期以降、活動に加わっていただきました。
複数常勤スタッフと、非常勤スタッフ、ボランティアが協働して活動する現在の組織体制が整いました。
2002年よりボランティア団体に協力していただいて開催するアイライトフェアも始まりました。
2003年には特定非営利活動法人(NPO法人)の認証を受けました。
2004年4月から旗塚事務所に移転。
阪神大震災10年を前にし、メモリアルイベント「視覚障害被災者の10年」を開催、記録としても出版しました。
このイベントおよび出版に尽力した木村文子相談役は2006年3月1日に逝去し、4月29日に「木村文子さんとのお別れの会」を関係団体と開催しました。
また2006年4月よりアイライトITファーム(現在のITハンドファーム)を開設、点V連、兵庫県伴走者協会と協働開始の新拠点でもありました。
さらに2007年4月開館の中山記念会館に2施設ともに移転しました。
それと同時にアイライト、点V連、兵庫県伴走者協会、ASVに朗V連、JBOSを新たに加えた6団体で協働する神戸ライトセンターが発足しました。
ライトセンター移転後から相談者が急増しています。
他にも通所施設の自立支援法への対応、訪問歩行指導など、まだまだ重い課題が待ち受けています。
厳しい壁ですが、スタッフで力を合わせて前へ進んでいきたいと思っています。
今までのご支援に心より感謝いたします。
そして今後とも、まだまだ微力な発展途上団体をよろしくお願い申し上げます。
ありがとうございました。
■ 10周年にあたって■
~ スタッフより ~
古淵 恵子(理事)
日常の忙しさの中で、のどかな日々を過ごしていた施設の最初の頃を懐かしく思い出し、初心に帰ってまた頑張りたいと思います。
和田 眞由美(理事・事務局長)
ひとつの想いが手をつなぎ、手と手を取り合って支えあい。
ニーズと制度の中で柔軟に変化してきた10年だったと思います。
あらためて支えてくださった皆様に感謝し、また先を見つめて力強く進めて参りますので、変わらぬご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
飯山 知子
アイライト協会との関わりは6年前に遡りますが、当初は何年も来させていただくことができるとは思っていませんでした。
本当に周りの方、利用していただいている方には感謝のしようもありません。
追われるばかりでなかなか思うように出来ていないのが私の実情ですが、追われながらも自分のペースで走っていきたいと思っています。
前田 照志
10周年を期に、視覚障害者用具普及事業が始動しました。
近郊市町への登録も進み、利用者様と直接に用具の販売が可能になりました。
多種多様なニーズに対し、満足していただけるように、充実し発展するよう計画しております。
石上 育恵
アイライト協会での経験は半年と短い私ですが、この記念の節目に在籍出来たことを大変嬉しく思うと共に、先輩諸氏が築き上げられた歴史を汚す事なく精進したく思います。
橋口 多美枝
初めてアイライト協会の名を知ったのが5年前。
それから随分組織も大きくなり、発展していると勝手に思っていますが、色々な方に利用・参加していただける様、頑張ります。
今田 典子
アイライト新神戸でお手伝いさせて頂くようになって早数年、目まぐるしく進化していくアイライトについて行くのがやっとの今日この頃、これからもお手柔らかによろしく御願い致します。
北條 眞弓
5年ほど前までは、のんびりとした感じのする通所施設でしたが、今では人数も増え、それに伴いメニューも増え、より一層活気づき、良い方向に向いてきたと嬉しく思っています。
澤井 恵理子
アイライト協会10周年おめでとうございます。
私はアイライト協会に来させていただくようになって早、4年目となりました。
一番大きな出来事は、やはり谷村新司さんのコンサートで、みんなで「いい日旅立ち」の曲をリコーダーとボンゴで演奏したことです。
練習は大変だったけどかけがえのない経験となりました。
浪本 美砂子
やっと、もう、まだ十年と皆様いろいろ感じておられると思います。
参加したての私も、この先に何かを感じることが出来るように、地道に活動していきたいと思っています。
~ ボランティアスタッフより ~
井上 堅也
元ASV代表の故木村文子さんから、アイライト協会設立のことをお聞きし、その最初の活動拠点だと案内していただいたのは、JR灘駅前のマンションの本当に小さな一室でした。
10年前のことです。
昔日の思いです。
塩尻 恵子
視覚障がい者の支援という大きな目標に向かい活動されている姿が、これからも多くの笑顔に繋がる事と思います。
一歩一歩前進する姿を応援します。
~ ご家族より ~
高尾和幸
設立の時、そして今日までの十年間は、森先生はじめスタッフの皆様には大変なご苦労があったことと思います。
十周年を迎えるにあたり、あらためて森先生はじめスタッフの皆様には心より感謝申し上げます。
我々保護者はもちろん、美智子を含めた通所者も無事十周年迎えることが出来た意義を見つめ直す良い機会だと思います。
明日からもまたご苦労の連続の日々が続くことと思いますが、宜しくお願い致します。
~ 通所メンバーより ~
熊澤 明
私は中山視覚障害者福祉財団様の奨学金制度により情報処理学を3年間学ばせていただき、卒業後、前常務理事の栗山様よりアイライトITファームを御紹介頂きました。
通所期間中、拙作ながらPC用読書ソフトとラジオソフトを完成できましたのは、須くITファームの皆様より頂いた温かいご支援と、中山視覚障害者福祉財団様より高等教育を学ぶ機会を頂けました結果です。
今後一層不撓不屈の決意をもって社会へ貢献して参ります。
ありがとうございました。
金田 福美
先天性の視覚障害ながらも、白杖を持たずに歩ける視力が残っていた私ですが、年々低下して行く視力、盲導犬と歩く決心をして、それを待っている期間、アイライト新神戸への通所をさせて頂くようになりました。
白杖を満足に使う事も出来ず、不安いっぱいの私に勇気と自信を与えてくれたのが、この施設でした。
アイライトとの出会い、暖かいスタッフや仲間との出会いは、大切な宝物です。
~ 理事より ~
山縣祥隆(山縣眼科医院)
『神戸アイライト協会設立10周年にあたって』
私がまだ兵庫医大に勤務している時、森さんが私の部屋を尋ねて来られ、神戸アイライト協会の構想を熱く語られたのがつい昨日のようです。
視覚障害者支援団体に医師が理事として参加しているのは極めて珍しいことで、是非とも頑張って欲しい、と期待のお言葉を頂いた木村文子さんもすでに帰らぬ人となってしまいました。
副理事長として協会にどのように貢献していったらいいのか日々、迷いながらの10年でしたが、特に眼科医のロービジョンケアに対する認識を向上させるため、微力ながら今後とも努力する所存です。
小林良守
『神戸アイライト協会の10周年に寄せて』
神戸アイライト協会が、多くの方々のご支援の下に10周年を迎えることができましたことを、会員や支援者の皆さんとともに心より喜びあいたいと思います。
協会の事業はトータルサポート事業、小規模通所事業、歩行訓練事業など多様に発展してきました。
これからは、ITハンドファームなどの事業の充実と安定、ロービジョンケアの更なる進展をめざしていきたいと思います。
山下昌子
神戸アイライト協会設立10周年を迎え、心からおめでとうを言いたいと思います。
これまで協会を支えて頂いた多くの方々に厚くお礼申し上げます。
また、この間、神戸アイライト協会の活動の発展に尽くされてきたスタッフの皆さまに敬意を表すとともに、感謝の気持ちでいっぱいです。
私事で理事としてお役に立てず申し訳なく思う毎日ですが、時折、皆さんの活動を見せて頂き、本当に心強く感じています。
今後ますますの発展をお祈りいたします。
古賀副武
『新たな一歩に思うこと』
兵庫県下の視覚障害者の身近なトータルサポートセンターとして「神戸アイライト協会)がスタートして10年、着実な歩みを続けることができました。
これもひとえに中山財団をはじめ多くの方々のご支援の賜と感謝します。
視覚障害者の切実なニーズを受け止め、行政・ボランティア・企業など関係者とのマネージメントの大切さを痛感します。
アイライト協会の活動を視覚障害者にアピールすると共に、視覚障害者とサポーターの有志の皆さんに正会員として参加していただけることを期待します。
安富義哲
『10年前に点った小さな灯りが・・・』
今年の3月に兵庫県立視覚特別支援学校を定年退職したあと、兵庫県視覚障害者福祉協会で相談員として非常勤でお世話になっております。
引き続いて視覚障害者に関連した仕事をいただいてありがたく思っています。
最近来館されたりお電話で相談をお受けしたりする視覚障害の方々の多くが神戸アイライト協会をご存知な事に少し驚いて居ります。
それだけ認知度があがってきたのだと感心(安心」しております。
10年前に点った小さな灯りがだんだん大きくなって広く視覚障害者に愛の光を照らすようになったのだと思います。
これからも日本ライトハウス、京都ライトハウスと並んで、神戸のみならず兵庫県、そして関西の視覚障害者の身近な存在となるよう更なる発展を期待しております。
成戸宏幸
アイライト協会は、「地域」と「訪問」をキーワードに視力センターでは出来なかった活動を地道に続け、視覚障害者の支えになってきました。
自立支援法で先行き不透明な時代ですが、この「地域」の活動が確実に定着するよう今後とも期待しています。
益田勢津子(理事)
10周年おめでとうございます。
私とアイライト協会との出会いは、歩行訓練とパソコンの講習を受けたことから始まりました。
どちらも隅々まで行き届いた指導で解りやすく、とても感激したことを覚えています。
そして今も感謝しております。
これからも法的なことや運営面でたいへんだとは思いますが、どんな場合にも利用者の声に耳を傾け、アイライト協会を訪ねてほんとうに良かった、嬉しかったと言う声が聞こえてくるようなところであって欲しいと思っています。
●編集後記
新阜 義弘
故人となられた木村文子さんが、活動の方針としていた「継続性が大切、利用者が必要な活動、利用者から後押ししてもらえる活動、人生の終焉の際に豊かな大地が、自らの目の前に広がっているように感じられる活動を望みたい」と話されていた。
10年の神戸アイライト協会の活動を振り返ると、まさにそれを感じる。
これからも視覚障害者を総合的にサポートしていく団体として成長すると信じる。
また、木村さんが、5年前の阪神大震災メモリアルイベントで、神戸アイライト協会が、一歩ずつ前進していく目標として挙げておられた情報弱者といわれる視覚障害者への情報提供と伝達、災害弱者といわれる人達への二次避難所の問題を早急に努力していくことだと述べられていた。
10年前に一緒に種をまいた人々の願いと情熱が、次の10年へと引き継がれて発展していくことを祈りたい。
本分終了