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神戸アイライト通信  NO.23
発行:2010.09

・最近のロービジョン関係の話題
・トータルサポート事業3年目
・地域での視覚障害トータルサポートシステム

最近のロービジョン関係の話題

               副理事長 山縣祥隆(山縣眼科医院)

アイライト協会会員の皆様、暑い日が続きますが、お元気でいらっしゃいますか?
さて、最近のロービジョン関係の話題をいくつかご紹介します。
これまで身体障害者福祉法における補装具としての遮光眼鏡は網膜色素変性症、白子症、先天無虹彩、錐体桿体ジストロフィーの4つの疾患に限られていましたが、本年4月から再度、適応疾患の基準見直しが行われ、身体障害者手帳を所持しているなど一定の基準を満たしていればどの疾患にも適応されることになりました。この基準の見直しは日本ロービジョン学会が設置した(補装具検討委員会)が厚労省と検討を重ねてきた大きな成果です。
 さて、その日本ロービジョン学会は発足後10年を経て、北九州市立総合療育センターの高橋広先生を新理事長として新しい体制でスタートを切りました。私、山縣は総務として学会を支えていくことになりました。新しい学会では、眼科医の間にロービジョンケアを広めていくために必要な(ロービジョンケアの診療報酬化)と、
例えば(両眼の視力を足す)といったような誰が考えても理屈に合わない基準が採用されている(身体障害者等級判定基準改訂)に力をいれていくことになりました。
 さて、兵庫県眼科医会では特にロービジョンケアに関心のない眼科医でも、自院に来院する患者さんにロービジョンケアを紹介することができるように、眼科医から患者さんに手渡してもらうリーフレット(つばさ)を発刊し、会員に配布しました。
>相談窓口としては、これまでに相談事業に実績のある神戸アイライト協会が指定されています。この計画は全国的にも注目されていますが、会員に配布後、一定の頻度で患者さんからの相談があり、まずは上々のスタートとなっています。
今年度も一人でも多くの視覚に障害をもつ方々にロービジョンケアを知って頂き、またケアを受けて頂けるように努力をしていきます。私が眼科医としてできることのひとつは、視覚に障害をもつ方々の声をできるだけ眼科の先生に知って頂くことです。どうか気がつかれたことがありましたら、何でも言って頂ければ幸いです。

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トータルサポート事業3年目

事務局 和田眞由美

 神戸市の委託をお受けしておこなっているトータルサポート事業は2008年度、2009年度を終えて相談件数は2年間で1629件。たくさんの方々にご利用いただいております。相談者の内訳は表の通り、ご本人様が58%を占めており次いでご家族9%ですが、他に関係各所からのご相談もお受けしています。対応にあたっては、まず相談支援専門員がゆっくりとお話をお聞きし、用具担当・パソコン担当・歩行訓練士など各専門スタッフが見えにくさでお困りのことについてのアドバイスや指導をしています。また当協会だけで解決できないことについては、神戸ライトセンター所属の団体を初め、神戸視力障害センター・日本ライトハウス・きんきビジョンサポート他、日頃より連携させていただいている施設や団体にお繋ぎしてネットワークで改善の道を図ります。(困ったときに気軽に相談できる場所があって良かった)というお声をたくさんいただいております。これからも、そうあり続けたいと思っています。しかし3年間という委託の終了時期が近づき、継続の道が断たれるということになると、今の体制はとれないことが予想され、窮地を迎えています。
 神戸市には障害者地域生活支援センターが14ヶ所あり、自立支援法の下、3障害(身体・知的・精神)に対して、委託を受けて相談事業をおこなっていらっしゃいます。身近な地域の相談窓口として重要な役割を果たされている場所です。
当協会には障害者地域生活支援センターからご紹介されてのご相談もあります。やはり(視覚)に関する専門的なサポートが必要になってくるということです。当協会はまだまだ未熟な面が多々あります。しかし設立11年半(スタッフによっては20年以上)で蓄積したノウハウとネットワークで神戸市の視覚障害者支援に少なからず寄与していかなければならないと考えております。病気や事故により人生半ばで見えにくくなった、どうすれば?というご相談が大半を占めています。人ごとではありません。アイライト設立以来の最大の窮地を迎え、早急に存続の道を確保しなければなりません。正会員および賛助会員の皆様には、今日までのご支援に厚く感謝申し上げますとともに、今尚一層のお力添えをよろしくお願い申し上げます。

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地域での視覚障害トータルサポートシステム

  理事長  森  一成

 国内有数の大都市(政令都市)でもある神戸市において約7,000人が視覚障害で障害者手帳を所持しています。
 視力あるいは視野の障害です。その周辺に多数の障害者手帳を持たない、良いほうの視力が 0.5未満のロービジョンの人がいます。日本眼科医会によると、全国のロービジョンを含めた視覚障害者は推定で 163万7千人(2007年)。それから考えると神戸ではロービジョンを含めた視覚障害者は推定数万人。そして晴眼者もいつ人生の途中でロービジョン(視覚障害)になるかもしれません。

 目が見えない、見えにくいとなると多くの困難が生じます。たとえば情報入手(文字の読み書き等)、歩行(移動)などの困難です。このような視覚障害の困難が改善されないと、心身ともに疲れたつらい生活が続くことになります。これでは本人だけでなく、家族や周囲の人々の生活にも悪影響がでてきます。高齢化がさらに進む2030年には、日本眼科医会によるとロービジョンを含めた視覚障害者は202万人とピークに達し、医療費に加え、家族の負担や低雇用率、QOL(生活の質)の低下などを金額に換算した視覚障害のコストは11兆円に膨らむと試算されています。
しかし逆に困難が改善されると道は開けてきます。実は視覚障害からくるこういった困難には、多くの改善のための解決方法が用意されているのです。目が見えなくても、目を使わない方法で人に頼らず自分でできることがたくさんあります。白杖歩行も危険を伴う難しい歩行ですが、歩行訓練士に適切に指導を受けると自宅周辺等ある程度は、ほとんど可能になります。人によっては電車・バスを使っての通勤、通学もできます。また用具や方法を少し工夫すると多くの困難は改善され、QOL(生活の質)向上をはかることができます。これが視覚障害リハビリテーションです。理学療法士等により肢体不自由のリハビリテーションが実施されているのと同じように、歩行訓練士等により相談を含めて視覚障害リハビリテーション事業として大都市を中心に全国の各地で行われています。
このような視覚障害リハビリテーションを含めた視覚障害の困難改善のトータルサポートのシステムが実現するためには次の3点が必要です。
1 相談、訪問指導などの視覚障害リハビリテーション事業があり歩行訓練士等の専任スタッフがいること
2 専門相談窓口、用具展示などのある中核的地域施設があること
3 眼科、視覚障害関係施設のネットワークがあること
 神戸地域では兵庫県眼科医会により(つばさ)という関係施設紹介のパンフレットができネットワークはできつつあります。施設も整備されつつあります。これに事業が充実した形で継続展開されることにより理想的な地域システム、トータルサポートのシステムが作られると確信しています。

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