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神戸アイライト通信  NO.20
発行:2008.12

・協会の通所施設事業に大きな転機
・来年度の通所施設事業について
・支援情報提供のトータルサポート事業スタート!
・アイライトフェア2008開催!
・ロービジョンケアを知ってもらうために

協会の通所施設事業に大きな転機

神戸アイライト協会は10年目の活動に入り大きな転機を迎えています。
特に通所施設事業は障害者自立支援法の施行を受けて、法定施設への移行準備に入りました。
移行には施設としてさまざまな条件を整えなければなりません。
また利用者の方にも利用手続き、利用条件の変更などで、今までと異なる苦労もかけています。
業務の増大、事務の煩雑化、補助金の減額など多くの困難が想定されますが、利用者の皆さんと協力して、スタッフ一丸となって良い通所施設事業になるよう努めたいと思っています。
これまでのご協力、ご支援に感謝するとともに、今後ともより一層のご支援をよろしくお願い申し上げます。
相談と情報提供支援のトータルサポート事業も神戸市の委託を受けて開始し、神戸ライトセンターが神戸地区の地域センターとしての役割を充実できたのではないかと思います。
医療機関やKinki-ビジョン・サポートなど関係団体との連携ネットワークも強化されつつあります。
まだいろいろな情報の届いていない地域のロービジョン、視覚障害の方へのサポートシステムをより強力にしていきたいものです。
     伊丹で初のロービジョンサポートフェア開催!12月6日、伊丹市立中央公民館で伊丹市視覚障害者協会と共催で開催しました。
伊丹市内の視覚障害の方々はもちろん、伊丹市長をはじめ地域の多数の関係者の皆様、約150名にご来場いただきました。
多くの方々のご尽力で用具紹介、相談、ミニ講座など有意義なイベントとなりました。

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来年度の通所施設事業について

理事長   森  一成

神戸アイライト協会では神戸市内等の視覚障害者を対象とした小規模通所施設「アイライト新神戸」「アイライトITファーム」を運営してきました。
しかし障害者自立支援法の施行を受けて現在の通所施設は早急に法定施設への移行を迫られています。
そういった状況の中で、どのような施設移行が可能なのか役員、スタッフで検討を重ねてきました。
その結果、アイライト新神戸を新神戸地域活動支援センター(仮称)にITファームを自立支援給付施設 ITハンドファーム(仮称)に2009年4月1日には移行完了をめざすことになりました。
新神戸地域活動支援センターは手芸、音楽、スポーツ、教養などのQOL向上の施設です。
現在の通所施設アイライト新神戸と近い内容になるかと思います。
ITハンドファームは現在のITファームに加えてハンドファーム(手工芸の作業場)を新設します。
どちらも制度上は通所施設利用の仕方が現在とは異なる部分もあります。
以下、施設での想定内容です。
移行後の実状によっては、変更になる場合もあります。
(また神戸市以外の方は、通所条件が一部異なることがあります。
)くわしい利用申し込みについては、協会までお問いあわせください。
新神戸地域活動支援センター(旧アイライト新神戸が移行)利用者年齢は18歳以上65歳未満。
(内容はQOL向上事業、地域交流ほかを予定) ITハンドファーム(旧アイライトITファームが移行) 利用には施設への申し込み以外にも区役所(または地域生活支援センター)に申し出て、障害程度区分の調査も必要です。
利用は公定経費の1割を負担ですが、利用費減免の場合もあります。
利用者の現在の規定は50歳以上または障害基礎年金1級以上か就労経験があり年齢・体力で一般企業の雇用困難な人など。
(内容はパソコン作業、手工芸等の軽作業、作業練習・研修などを予定)来年度、両施設ではお手伝いいただけるボランティアの方を募集しています。
XP以上の中古パソコンも探しています。
詳しくはお問い合わせください。

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支援情報提供のトータルサポート事業スタート!

理事長 森 一成

急速に増加する相談の状況を受けて神戸市の委託事業としてロービジョンの方(視覚障害者)が対象のトータルサポート事業を実施することになりました。
ロービジョン(視覚障害)による困難改善をめざす支援情報の提供事業です。
各区の障害福祉課、障害者地域生活支援センター、地域の眼科や関係団体と連絡、連携をとり進めていきたいと思います。
目が見えにくい、見えないといった状態になると、生活するうえで多くの困難が出てきます。
足元や周囲などが見えにくい、見えないために安全な歩行が難しくなります。
また文字が読みにくい、読めないために新聞・郵便物やパソコン画面などがわかりにくい、わからないといった文字情報が入手しにくくなります。
その他、身の回りのことや家事など日常生活上の動作・作業やスポーツなどのレクレーションでも目を使うことが難しくなり、さまざまな困難が生じてきます。
このような困難が改善されないと、心身ともに疲れたつらい生活が続くことになります。
これでは本人だけでなく、家族や周囲の人々の生活にも悪影響がでてきます。
しかし、逆に困難が改善されると道は開けてきます。
実はロービジョンからくるこういった困難には、多くの改善のための方法が用意されているのです。
目が見えにくくても用具などで見やすくしたり、見えなくても目を使わない方法でしたりするなど、できることが結構あります。
けれどもロービジョン克服のこういった方法や用具はほとんど知られていません。
それはロービジョンに関係のない生活をおくっている時には、ほとんど誰も知ろうともしない状況があるからです。
しかし自身がロービジョンになったら、情報入手は非常に困難になります。
これによって知らないまま過ごすような状況がうまれています。
こういったことを、この事業を通して改善していきたいと願っています。

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アイライトフェア2008開催!

    事務局長 和田眞由美

10月26日。
午前中のよろず相談会には神戸ライトセンター所属6団体の各ブースと尼崎眼鏡院による拡大読書器や拡大鏡の展示紹介コーナーを設置。
用具の選び方についての相談が多く、協会施設内において常設で紹介できる用具の整備が急がれるところです。
午後は『視覚障害者への相談支援』をテーマにパネルディスカッションをおこないました。
パネリストには、日本ライトハウスでのリハビリテーションを経て職場に復帰された堀康次郎氏(Kinki-ビジョン・サポート代表)、障害全般についての地域の窓口、柚木忠浩氏(ちゅうおう障害者地域生活支援センター所長)、伊丹市でピアカウンセリングをされている大村直美氏(伊丹市視覚障害者協会女性部部長)、教育現場より渡辺譲氏(神戸市立盲学校教諭)をお迎えし、神戸アイライト協会より理事長の森、コーディネーターに会長の新阜が加わり、時間の限り意見や情報の交換をおこないました。
Kinki-ビジョン・サポートは、それぞれ福祉・医療・教育などの現場で活躍している約30名のスタッフ(うち10名が視覚障害当事者)が仕事の枠を越えてボランティアで集まり、見えない見えにくい方やサポーターが気軽に参加できるサロンの開催、白杖や点字の学習会、眼科医を交えてのシンポジウム開催など積極的な活動を展開されているNPO団体です。
代表の堀氏は職場復帰を果たされた経験から医療・リハビリ・就労現場の架け橋になりたいとネットワーク作りに尽力されています。
会社を辞める前にロービジョンケアを知ってほしいと、患者が最初に出遭う眼科への働きかけを重点的におこなっていらっしゃいます。
伊丹で活動されている大村氏は「相談者を待つ」だけでなく、自宅から出れない視覚障害者のもとへ自ら出掛けていく「訪問型」を提案し実現されたそうです。
やはりご自身が「知る」ことで「変われた」という経緯から、同じ悩みを持つ「仲間(ピア)」を見つけ出し、苦しみの渦から引き上げようと精力的に活動されているそうです。
相談者のお話を聞いて「死」「愚痴」「苦しみ」を「クシャクシャ、ポイ」としてあげるんだ、と真っ直ぐ前を見つめて優しく語っていらした大村さんの姿が印象的でした。
同じ悩みを持つ「仲間」でないと分かり合えないことも多々あります。
その「仲間」と話すことで随分と気持ちがラクになる、カラダも軽くなって、もう一度立ち上がってみようとされることを願わずにいられません。
「情報が届かず埋もれている人をどうやって見つけるか?」ということに対し、眼科医にロービジョンケアをおこなうことでどんな効果(喜び)があるかを伝える、盲学校を開放する、継続したイベント開催で繰り返し伝えていく、行政を巻き込んでいくなどの意見が出ました。
また、お互いの顔が見えるネットワーク作りで、どこでどんな対応ができるかがわかれば紹介しやすくなるという提案も。
兵庫県の中部(丹波)、西部(姫路)からの要望も聞かれ、その地域の眼科や行政との連携を図ることが、広域にわたるサポートの実現には欠かせないとあらためて認識しました。

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ロービジョンケアを知ってもらうために

       神戸アイライト協会 副理事長 山縣祥隆(山縣眼科医院)

早いものでもう師走を迎えましたが、会員の皆さんは如何お過ごしですか?年末にあたり、最近のロービジョン関連の情報を簡単に紹介いたします。
病気の治療では、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性症などで網膜の浮腫(むくみ)をとる効果に優れ、新生血管の発育も抑える注射薬(商品名アバスチン)が広く使われるようになり、視力低下をかなり防ぐことができるようになってきました。
網膜色素変性症では細胞内のカルシウム濃度が高くなることで細胞傷害が引き起こされることから、高血圧の治療に使われてきたカルシウム拮抗剤(商品名ニバジール)が注目されてきています。
本年の日本ロービジョン学会学術総会は日本眼科看護研究会との合同開催で9月19日、20日に東京で行われました。
シンポジウムでは就労の問題、ロービジョン者の運転免許取得・?更新の問題、ロービジョンケアにおける看護師の役割、が取り上げられました。
その中で印象に残ったのは就労に関するシンポジウムで討論された、すべての眼科医がロービジョンケアを行うべきか、という問題でした。
ロービジョンケアを「生活の質」を念頭においた眼科診療と考えれば、全ての眼科医が持つべき基本的な心構えです。
しかし過酷な病院外来診療の最中に視覚補助具の選定などのケアを行うことは不可能で、現実的には充分にお話を聞いてケアの導入を行うことさえなかなか難しいのです。
したがって外来診療の時間外に特別にロービジョンケアの時間枠を設けることのできる病院が実際のロービジョンケアを担当し、その他の病院の眼科医はケアを行っている病院を紹介することでその責任を果たす、とする方が現実的だと思います。
現在、兵庫県にはロービジョンケアに深く関心を持つ眼科医が数多くおられます。
私は今後、その方々と協力して、眼科医の間に無理なくロービジョンケアを浸透させる方法を考えていきたいと思います。