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当協会の会報を、バックナンバー含めて総てお読みいただけます。1999年から続く本会の歩みをぜひご覧ください。視力を使わずに自由に街路を闊歩できる技術、歩行訓練。ここではその体験者の皆様のお声をインタビュー形式でお読みいただけます。ここでは視力を用いずにパソコンを利用されている様々な当事者の方の事例をご紹介します。

歩行訓練士スーちゃんとの街歩きコラム♪

目が見えにくく、見えなくなると外出は自由にできなくなるのかな?こうした不安を取り除いてくれるのが歩行訓練です。
視力障害のため歩行が困難になっても訓練を受けることで様々な場所へ行けるようになります。ほかにも公的なガイド派遣や盲導犬といった色々な方法がありますが、歩行訓練の魅力はなんといっても自分で行きたいところへ行ける、「自由である」ことです。そんな歩行訓練の魅力を、体験者の声を交えながら発信しています。


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今回は単独歩行で自由にお買い物ができるようになられた方のお話です

すーちゃんすーちゃん: 今回は熊澤さんと歩行訓練というテーマでお話をしたいと思います。よろしくおねがいします。
Kさん; よろしくおねがいします。

すーちゃん: まず、最近熊澤さんが普段良く歩いているエリア…、どの辺をタッタカ歩いていますか?
Kさん; そうですね……、日常的にですとさんちか辺りが多いです。あそこにはメンロード(ラーメン街)があるのですが…
すーちゃん: ああ、お店が入れ替わるところですね。
  受講者 熊澤氏Kさん; そうなんです、あそこがついこの間全て入れ替わりまして、
  各お店に投票できるようになっているんです。
すーちゃん: うん。
メンロード 写真Kさん; 気に入ったお店に投票して、一番得点の少ないお店は半年で閉店という企画らしく…
すーちゃん: きびしいんですね(笑)
Kさん; きびしそうですね、
  そしてその中でも好きなお店で食べて票を入れてということをしています。
  投票箱も、「要改善」と「良かった」が横に並んでいて右側が「良かった」なのですが、
  自分の方角を把握することや、ランドマーク(注1)を見つける方法といった基礎を歩行訓練で
  教えていただきましたので、一度お店の方に箱の場所を教えていただくと、
  2回目以後は箱の場所をまず間違いなく見つけられるようになりました。
  ジョーシン伝奇 写真すーちゃん: 2回目以後もあるんですね。
Kさん; はい、最近はその時々にそれぞれ好みのお店に通っています。
すーちゃん: それは楽しいですね、やっぱり食べ物屋さんが多い感じですか?
Kさん; そうですね、普段よく行くのは食べ物屋さんが多いです。あと、ジョーシン電機も時々行きます。
すーちゃん: えっ?ジョーシン!
Kさん; こちらも行き方を訓練いただきまして、個人的にはどちらかというと家電というよりゲームソフトを
  買いに行っています。
  その一方で最近ネット通販も色々ありまして…
すーちゃん: そうですね。
Kさん; 自宅まで持ってきていただけ、パソコン等で商品を目を用いず自力で探せる(注2)という意味ではとても便利です。
  その一方で実際に店舗で買うのはライブ感と申しましょうか…
すーちゃん: ライブ感?
Kさん; 買って、袋に入れていただいて、受け取って、それを家へ持って帰るその道すがらの楽しさが感じられまして…
すーちゃん: はい。
Kさん; これはなかなかネットショップでは味わえない感覚で、今までは店舗での購入は難しいと考えていました。
  でも歩行訓練を受けたことで、最近は店舗とネット通販それぞれを使い分けています。
  リアル店舗で買いたい物はそちらへ行って、時間や在庫が無い場合はネット通販をと併用できるので便利です。
すーちゃん: うんうん、わくわく感も含めて楽しんでいるということですね。
Kさん; はい。更には選択肢が増えたというのがとても大きいです。これからも行ける場所のバリエーションを増やしていきたいです。
  洋服屋とか不動産屋とか…。
  いざというとき動けるエリアがあるというのはそれだけで安心で、その意味からも訓練を受けられて本当に良かったと感じています。
すーちゃん: それを訊けて良かったです。じゃあ、普段も活かしてもらっているんですね。
  ところで、安全に歩けていますか?
Kさん; そこも訓練をいただいてどんどん歩けるようになりました。
  以前、三ノ宮ステーションホテルで白杖を鉛筆のように持つ方法を教えていただいて以後、人混みでの安心感がとても増しています。
  接触事故など万一があったらと思うとどうしても身体が萎縮します。
  それが心穏やかに雑踏の中を歩けるようになったのはとても大きな変化でした。
すーちゃん: 場所に応じて使い分けができるようになってきているということですね。
Kさん; はい。こうして歩く方法を学べる環境があるのがとても大きな事だなと思います。
すーちゃん: それは私も嬉しいです。
Kさん; ありがとうございます。
すーちゃん: 学習できる場所ですね。じゃあ、ちょっと遡ろうか。
Kさん; はい。
すーちゃん: こうやって一人で歩く練習を受ける前は、アイライトに来るときなどは移動はどうしていましたか?
Kさん; アイライトでは当初から歩きで来ていたのですが、大学や盲学校の時代に受けた訓練がその時役立ったように思い出されます。
すーちゃん: 一からやるのとはまた違いますから、そこが基礎になったんですね。
Kさん; こちらに来させていただいて以後、その得た基礎を広げていただいているのがとても嬉しいです。
すーちゃん: なるほど。そしたら、歩行訓練を受けたら歩くエリアが広がったりとかバリエーションが増えたりとか。
  それではこれまでで「歩行訓練を受けて良かった」というのはありますか?
  先程上新電機の話をされていましたが…最近行けて良かったとか感動したような出来事はありますか?
ゴディバ 写真Kさん; 先程のラーメン街から少し北にあるチョコレート専門店のゴディバへ行けるようになり、
  ホワイトデーやクリスマス等の贈り物をしたい時に重宝しています。
  今までは独力でそれを行う手段がなく、通販でギフト包装付きのものを頼んだり、
  家族同伴でデパ地下へ買いに行っていました。
  が、自発的に、自身の責任でそうしたギフトを購入できるのが、社会参加の意味でも
  自由にできるという意味からもとても嬉しかったです。
すーちゃん: 自分のやりたいことを、やりたいときに自分でできるということですね。
Kさん; プレゼントですから、折々失敗することもありますが、そうした失敗さえこれまではできなかったことを考えれば違いは圧倒的で、その意味からも本当に良かったと思っています。
すーちゃん: 大分、「歩行」と一口に言うけどかなり広くて深そうな感じですね。
Kさん; 本当に深いと感じます。できるようになったことを考えればまだまだいくつも思い当たるほどです。
すーちゃん: それは、また次回、シリーズ化にしてもいいですね(笑) またテーマを決めて、ちょこちょこやっていきましょう。
  それでは最後に、今日の話の中で熊澤さんが伝えたいことをおしえてください。
Kさん; 視覚障害になっている方やなられた方で、いろいろな状況の方がいらっしゃると思いますが、もし叶うならば歩行訓練を受ける方が
  ぜひとも増えて欲しいと思います。
  そして、「歩行訓練」という字面だけを見るととかくテクニカルなものが想像されると思うのですが…
すーちゃん: そうですね、もっとカジュアルな感じの名前で、利用もしてもらえたらいいなと思います。
Kさん; 「訓練」の要素が含まれている一方で、結果から見ると、個人の自立や自活ができるようになるというところがあるので、それが最終的に
  自信に繋がっていくよう感じられます。
  その自信が付くという意味からも、特に今後利用をされる方が増えて欲しいと思います。
すーちゃん: 確かにそう…。それも、私の、歩行訓練士の立場から言っても知って貰いたい点で、気軽に歩いて貰いたいなというのを広める意味でも
  こういう話しをして、実は楽しいことなんだよというのをもっと知って貰いたいと思います。
  訓練だけど「練習しましょう」とも言いたいし、「アドバイスさせてもらいます」など、ちょっとでもやわらかくして、気軽に興味を
  持ってもらえたらいいなぁと思っています。
  その人に応じて、ゴールも色々、様々ですしね。
  まずは知って貰うこと、興味を持ってもらうというところで、今後もこうして対談をしていけたらと思います。よろしくおねがいします。
Kさん; よろしくおねがいします。
すーちゃん: ありがとうございました。
Kさん; ありがとうございました。


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注1:視力を使わず歩行する際、現状把握のために用いる様々な目印のこと。
  壁や柱の凹凸、音楽を流しているスピーカーの位置、空間に含まれる香り、段差、扉、点字ブロックなど、その場にあるあらゆるものを
  用いて安心な歩行を実現する。
注2:パソコンの画面を音声で読み上げるソフトを使い、視力を用いずにネットショップを利用することができる。